◆いざ、ノウ特別区へ

 いよいよ決戦の時がきた。シラーフはちゅうちょすることなくアルコール・ルパンとの戦いの場所にノウ特別区を選んだ。一度、そこで敗北を味わっているからだ。その時のくやしさをシラーフはどうしても忘れることができなかった。

「よいか、決してあせらないことじゃ。敵の出方をじっくりと調べてから戦うことじゃ」

 珍しくスカルピー教授が忠告をしてくれた。シラーフの身を案じてくれたことなんて初めてのことである。

 シラーフはミス・ハートの日記をすべて読み終え、その中から、7年後のある日を選び出した。その日は、ノウ特別区に異常が発生し、しかも3日間連続して異常な状態が続いたと記述されていた。

 ノウ特別区を戦いの場に選んだのは、もちろんくやしさからだけではなかった。そこが、あらゆる地区の働きをコントロールしている重要な場所でもあったからだ。

 シラーフは特製のボディースーツを着込み、腰にガンベルトを巻いて、レーザーガンをしまった。胸にルパン探知機のバッジをつけ、左手首に腕時計に似た時間超越発信器をはめた。そして、小脇に頭がすっぽり入るヘルメットを抱えた。へルメットには超小型のボンベが組み込まれていた。

「よおし、行くぞ!」



 タイム・アンド・スペーストラベル号の扉を開け、勢いよく中に乗り込んだ。

「ウォン」

 とひと吠えして、コロンボも乗り込んできた。シラーフはすぐに時刻と場所をセットした。

「よいな、決してあせらないことじゃ。テイク・イット・イージーじゃよ」

 扉の向う側から、またもスカルピー教授はいった。シラーフは左手の親指を立てて、出発の合図をし、扉を閉めた。