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活動履歴

第11回ASK依存症予防教育アドバイザー養成講座を開催しました

2023年11月25日・26日、第11回ASK依存症予防教育アドバイザー養成講座を開催しました。
この事業は、厚生労働省「令和四年度依存症民間団体支援事業費補助金」を受け、受講料無料で実施しています。
この講座の特長は、アルコール・薬物・ギャンブルを中心とした幅広い依存症の、当事者・家族・支援者が一堂に会し、対等な立場でお互いから学び合うこと。参加者がリソースそのものです。

第10回・第11回の募集に対して188名の応募があり、領域・職種・地域などのバランスをとって第11回は27名を選考しました。

2023年5月に新型コロナは5類感染症に移行しましたが、開催時、インフルエンザの流行が重なっていたため、体温の確認、換気、椅子を1つ空きに座る、マスク着用を推奨するなど、感染防止対策を引き続き実施しました。
当日は、会場の東京(浅草橋)に、首都圏に加えて、北海道・宮城・新潟・三重・京都・大阪・兵庫・山口・愛媛・香川・高知・福岡・鹿児島・沖縄から参集。休憩時間のたびに活発にあちこちで名刺交換が行なわれ、熱く語り合い、お互いの経験を分かち合うことができました。
アルコールの当事者が3名、薬物の当事者が3名、ギャンブル当事者が3名。家族はアルコール2名・ギャンブル2名。支援者は弁護士・医師・看護師・社会福祉士・精神福祉士・公認心理師・作業療法士・カウンセラー・大学教員・テレビ局ディレクター・フリーアナウンサー・刑務所ラジオパーソナリティ・俳優……と多岐にわたっており、当事者・家族でもある支援者が多いのも特徴です。

最終テストと提出物などから総合的に審査し、27名全員が合格しました。
第11回養成講座のようすを写真でどうぞ。最後に受講者の感想もあります。
なお、来年度も補助金申請の上、実施の予定です。決まり次第、お知らせします。

養成講座の様子1

養成講座の様子2

養成講座の様子3

養成講座の様子4

養成講座の様子5

養成講座の様子6

養成講座の様子7

養成講座の様子8

養成講座の様子9

養成講座の様子10

養成講座の様子11

養成講座の様子12

養成講座の様子13

養成講座の様子14

養成講座を受講して(認定アドバイザーの感想)

【当事者】

●アルコール依存症当事者(東京)
私はアルコール依存症本人で、他の依存症の知識があまりなく、講座に参加されていた方々の体験談と講師の方の話が現実身があり非常に役に立ちました。
薬物の講師の方の体験談を聞いて、どの依存症もベースは同じで依存対象が違うということが分かりました。アルコール体験談だけではなく、他の依存症にもヒントがあると自助会の内部でも周知していきます。

●アルコール依存症当事者(高知)
システムと運営が素晴らしかったです。
・養成講座として;テキストに無駄が無い、講義時にも使いやすくわかりやすかった。
講義は啓発活動の手本としてしっかり収穫しました。何をマスターし、意識してプレゼンすればよいか。発声(抑揚、ボリュウム)、明瞭な発音、マイクの使い方、伝える工夫(立ち位置、パワポの使い方、ユーモア、問いかけ、など)
・資格試験について;実践的で受験した価値がありました。他の要素との評価と総合しての判定だから合格をいただきましたが、アドバイザーならば正しく答えられなければならないことばかりでしたから、不合格だったとしても納得したと思います。(独り言です『運転免許の試験、あほか?』) 
・ネットワーク作りの機会として; 断酒会以外のジャンルの方と知り合う基調な機会でした。自分は他人との交流が苦手ですが、それでも数名の方と知りあうことが出来、ありがたかったです。
・運営について;申し込みのミスをしたり、ご迷惑をおかけしましたが、柔軟に対処してくださり感謝しております。当日の運営も予定外のことがいろいろおありだったはずですが、わたしにはとてもスムーズに講座が進行してストレスを感じること無く最後までついて行くことが出来ました。  

●薬物依存症当事者(東京)
私は薬物の当事者で、2度の服役経験をしています。当事者としての回復の経験については話した経験があります。しかし、それだけでは一般社会に対して依存症予防に伝えるにはイマイチ説得力がないのではないかと思っていました。そん中、今回の予防アドバイザーの養成講座には、依存症について正しく体系的に伝える為のスキルを身につけることと、多種多様な方々との繋がることを目的で参加させていただきました。
私が今回の研修会の中で一番印象に残ったことは、ユニットという考え方です。アルコール、薬物、ギャンブル、ライフスキルなどのユニットがあり、それを組み合わせてチームで予防教育を行うという方法です。
チームで予防教育が行えるのなら、当事者である私は当事者して体験を話すだけでも、すぐに予防アドバイザーとして活動できると思いました。
私は1次予防にはあまり興味がなかったのですが、今回の研修会で考え方が変わりました。依存症から回復すため、ライフスキルは一般社会の人が抱える生きづらさの問題を解決するために役に立つと思ったからです。
私は今後、予防教育アドバイザーとして、中学校、高校、大学などで生きづらさを手放すためのライフスキルについて、ユニットを組んで伝えていきたいです。

●ギャンブル依存症当事者(兵庫)
当事者はもちろんのこと、色々な職種の方々と知り合いになれて有意義な二日間でした。
特に今回の講習で感じたことは、正しい知識を得ることが自分自身を守る力になるということを改めて改めて実感させられました。
今までは、自助グループや当事者家族の前で話すことがほとんどでしたが、「この場所を超えて活動していかないと!」と思いましたし、何よりも楽しかったです。2日間、ありがとうございました。

●ギャンブル依存症当事者(大阪)
養成講座では、自分が持っているアディクション以外のことを知ることができ、非常に勉強になりました。
依存物の対象や行動は違えど、同じように生きづらさを抱えていること、適切なライフスキルを身につけることが、依存症予防に効果的であることを分かりやすく教えていただきました。
また、様々な立場の方々とつながりを作ることでき、今後、自分自身がアドバイザーとして依存症の予防教育や、正しい知識を伝える機会を作るきっかけになりました。依存症当事者にもつながり(コネクション)が重要ですが、支援する立場の方々もつながり(コネクション)が必要だと実感しました。
自分自身の依存症からの回復にも役立つ部分がたくさんあり、非常に有意義な時間となりました。2日間ありがとうございました。

●ギャンブル依存症当事者(山口)
色々な立場の方との交流ができ、それぞれの立場での考えてる事や、地域間での違い、自分の専門外のアディクトの知識を得ることができ良かったです、また、これからアドバイザーとして活動する上でのポイントや課題を知る事ができ、今後に、活かしたいと思います。

【家族】

●アルコール依存症家族(大阪)
自身の依存症の理解はあっても、他の依存症のことを学べる機会がなかったので、それらを一度に学べるのはとても貴重な時間でした。
重複して依存症をお持ちの方もおられるので、きっと役に立つと思いました。
そして何より、全国から同じ思いで来られた仲間と出会え、2日間を過ごせたことも素晴しいことだと感じました。

●アルコール依存症家族(香川)
2000年に断酒会に繋がり、アスクの存在を知りました。
その頃とは状況は少し変化してきているようですが、依存症はまだまだ偏見にまみれているように感じます。
家族の立場で、自助グループに繋がり20年以上の月日が経ち、私に出来ることがあればと今回受講しました。
世間の偏見や誤解の中で、依存症者とその家族が健康を取り戻し人生を生きなおすことが可能であることを、もっと知って知らせたいです。

●ギャンブル依存症家族(新潟)
講義で必要な知識、伝え方のポイントを学べたことはもちろん、支援者や依存症当事者の方など、違う立場の方と交流できたことが本当にありがたかったです。
このご縁を今後の活動にも活かしていきたいと思っています。
特に印象に残ったことは、薬物の「ダメゼッタイ」に関する部分です。あの表現が生まれた生まれた背景、いま取り組まれていることを知ることができてよかったです。

●ギャンブル依存症家族(東京)
ASK認定依存症予防教育アドバイザーの講座を受講して、多くの学びと感動を実感しています。
まず、講座では依存症のメカニズムやその影響について深く理解することができました。依存症になる心理的なプロセスや社会的な要因について掘り下げることで、より深い洞察を得ることができました。
また、ASK認定依存症予防教育アドバイザーとしての役割や責任についても学ぶことができました。
依存症予防において、個人やコミュニティ全体に対してどのようにサポートを提供できるか、そして予防活動を効果的に展開するための戦略を学ぶことができました。
これは依存症予防の分野で活動したり、他者に対して助言やサポートを提供したりする上で、非常に役立つスキルとなりそうだと感じています。
講座では、参加者同士でのディスカッションや実践的な演習も行われ、他の受講者との交流を通じて新しいアイデアや視点を得ることができました。自分の経験や考えを共有することで、より広がりのある学びの機会となりました。
普段ギャンブル依存症の方以外の依存症のお話を聞いたりすることがないので、それも新鮮でしたし、依存症の根は一緒だと改めて実感できたことも大きな収穫です。
総じて、ASK認定依存症予防教育アドバイザー養成講座は、依存症に関する理解を深め、予防啓発に向けた具体的なスキルを身につける素晴らしい機会でした。
今後は、これらの知識とスキルを活かして、広く依存症のことを啓発できるように役立てていきたいです。

【支援者】

●テレビ局ディレクター(神奈川)
北海道から沖縄まで、全国に“仲間”がいることを実感しました。
それぞれ、普段の職場では“少数派”かもしれません。
同じ志を持った人が、こんなに居る。それだけでも勇気づけられますね。
年代も立場も経歴も様々ですが、フラットに話せる関係がありました。
私は根が人見知りで、あまり話しかけることができなかったのですが、ワークの中などでいろいろなお話をお聞きすることもできて、こんなこと考えているんだ!とか、こんなことやりたいと思っているんだ!と、いろんな学びや励みをいただきました。
講義では、やはり当事者の方々の体験談が非常に印象的で、理屈だけでない学びを得ることができました。
言葉が適切かどうか分かりませんが、依存症はやはり面白い、人間の様々な面を見せてくれる“病気”だとあらためて思います。
プログラムを企画してくださった運営のみなさま、そして一緒に参加して学び合ったみなさまに、深く感謝を申し上げます。

●弁護士(京都)
2日間の養成講座を経て、様々な依存症分野の学びを得ることが出来ました。
また、様々な依存症分野の当事者の方の体験談や、異なる立場・職種の方々と繋がることができ、非常に有意義な時間となりました。
今後は、養成講座で得られた知見や繋がりを活かしながら、依存症予防教育アドバイザーとして活動をしていきたいと思います。

●大学教員(滋賀)
各依存症の症状や社会の状況について詳細に学ぶことができました。私の関心事であったギャンブルにおいては、ギャンブルにアクセス可能な環境がここ数年の間に目まぐるしく変化しており、若者がギャンブル依存に陥る危険性を強く感じました。また、そうしたギャンブルを行うことに対して、本人の選択の帰結というよりは、社会がその誘因となってることへの気づきを与えることが非常に大事だと考えました。
国や企業に抗することはエネルギーがとてもいることだと思われます。そうした活動を実践さて続けてきたASKさんに感銘した次第です。2日間ありがとうございました。
当事者の経験や感情の変化ついて、生の声を聞くことができて良かったと思います。

●内科医(沖縄)
このたび11期アドバイザーに合格いたしました。
今まで学会や自助グループでお会いするいろいろな人から「アドバイザーになったらいいよ」と声をかけていただきました。私もそこそこの経験と知識がある自負が正直ありましたので、「まぁ今更…」みたいな気持ちもありつつ受講いたしましたが……素晴らしい内容でした!
2日間にわたって、支援者当事者ご家族の皆さんとあの濃厚充実な講習を共有できた事は、大きな自信になりました。そして何より今後講演に使えるパワポのデータを無償でいただき、それを自由に活用していいと言う太っ腹振りにびっくり。私自身が10年ぐらいかけて、独自にアルコール依存症の講演用データを作り上げましたが、今回は薬物やギャンブルの素晴らしい内容の講演用データまでもいただけるとは!
激増が予想されるギャンブル依存症に対応するために勉強会を開催していく予定です。今後とも先輩方の教えをいただきながら活動していく所存です。

●社会福祉士・精神保健福祉士(京都)
ASK依存症予防教育アドバイザー養成講座を2日間受講しました。
どの講義も、回復者の語りがあり、引き込まれました。洗練された講義資料も講義も魅力的なものでした。
受講者も様々な立場の方がおられ、最初はパワーに圧倒されていましたが、見事な交流の場にもなりました。
学ぶだけでなく、これからの予防教育活動に向けての覚悟ができました。依存症の回復支援に向けて、課題は多くありますが、出来ることをしていきたいと思います。

●公認心理師・臨床心理士・社会福祉士・精神保健福祉士(福岡)
印象深かったのは、当事者の方やご家族をはじめ、様々な場所や職域の方が全国から参加されていた点です。依存症への正しい理解や知識の普及啓発、回復への実感を地域に自分ごとして運んで根付かせたい仲間に出会えたこと、またその想いにたくさんの勇気をもらいました。
依存症の知識に関して、病の特性だけでなく、その背景の心理社会的な要因、ライフスキルまで網羅されていたことも、大変勉強になりました。学びの時間で得た正しい知識を今後活かしながら、自分ごととして依存症という病、また、それに付随する多くの問題と向き合い続けたいと思います。
私自身が、依存症の回復支援で体験してきたような、人はどのような状況・状態であっても回復できるという実感を育めるよう、地道に活動したいと思います。
また、その過程で自分自身のライフスキルも磨きたいと思います。依存症の予防教育を、私のライフワークにしていきます。

●救急科医療ソーシャルワーカー・社会福祉士(愛媛)
これまでアルコール依存の勉強を中心に行ってきましたが、他の依存症の勉強もできたこと。当事者の話がたくさん聞けたのもよかった。予防教育アドバイザーとして活動することを念頭に教えていただいていたので、帰ったらさっそく周囲にアピールしてできることからやらなきゃ!って気持ちになりました。

●公認心理師・臨床心理士(北海道)
本当に内容の濃い、充実した講座でした。講師の先生方のみならず参加者の皆さんの熱量の高さに圧倒された2日間でした。特に当事者のみなさんのエピソードはどのお話も心を揺さぶられるものがありました。依存症はとても身近で誰でも陥るものである一方、本人・周囲の適切な理解とサポートで確実に「回復」するものでもある、ということを改めて実感した次第です。なにより、これから依存症についての普及啓発・社会へのアクションをともに取り組む心強い仲間たちと出会えたことが一番の収穫です。

●看護師(東京)
ギャンブルの最新情報は特に印象になりました。Jリーグなど子供達の身近な健全なスポーツにも、危険なリスクが潜んでいることを知り驚き、怒りを覚えました。予防教育があれば、罹患を防げる依存症者も多いのではないのでしょうか。
当事者の方から、講義がきけたことにより、実際の予防教育の場でのシミュレーションがイメージできとても良かったです。

●看護師・アルコール依存症家族(鹿児島)
今回、依存症予防教育アドバイザー養成講座を受講させていただきました。
依存症看護に関わらせて頂いておりますが、どこか自信が持てずにいました。
アドバイザー養成講座の研修を経て、改めて病気に関する知識、予防教育のあり方や、ライフスキルについて学ぶことができ、とても自信を頂きました!
日々、患者様や家族支援に関わる中で、自分でもっと出来ることのイメージが広がりました。学ばせて頂いた事を活かして、依存症で困っている方々のお役に少しでも立つことができる様に活動していきたいと思います。

●看護師(三重)
支援者のみでなく、当事者や当事者家族の参加の多さとモチベーションの高さに圧倒されました。
今回の出会いや経験を大切に、今後活動に励んでいきたいと思います。

●作業療法士・認定心理師(沖縄)
日々、悩みながら依存症に関する相談を行ってます。同じように同僚や新たに保健所や精神保健福祉センターに入職した支援員が悩んでいる様子をみて、後に続く支援員をサポート、育成することが直近の目標となりました。
学んだ内容を共有し、相談にいらっしゃる方々の一助にしていきたいと思います。

●公務員・心理カウンセラー(宮城)
養成講座の内容は非常に優れたものになっています。
また自分でもすぐに教育を行えるよう完成度の高い教材も準備されており素晴らしいと感じました。
更に、活発な意見交換や当事者の方の体験談を数多く聞くことができます。私は、それを聞くことで、よりリアルな依存症への認識、偏見等改めるべき考えが数多く出てきました。依存症への偏見はいつの間に自分のなかに植え付けられていたのかと気付かされる瞬間が数多くありました。
今後は教材を元にしっかり教育内容を組み立て、微力ながら依存症普及の一助になれればと思っております。