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活動履歴

第8回ASK依存症予防教育アドバイザー養成講座を開催しました

2022年10月8日・9日、第8回ASK依存症予防教育アドバイザー養成講座を開催しました。
この事業は、厚生労働省「令和四年度依存症民間団体支援事業費補助金」を受け、受講料無料で実施しています。
この講座の特長は、アルコール・薬物・ギャンブルを中心とした幅広い依存症の、当事者・家族・支援者が一堂に会し、対等な立場でお互いから学び合うこと。参加者がリソースそのものです。

第8回・第9回の募集に対して154名の応募があり、領域・職種・地域などのバランスをとって選考。第8回は28名での開催になりました。
開催時、オミクロン株による第7波がようやく収束した時期でした。
会場の東京(浅草橋)に、首都圏に加えて、北海道・宮城・福島・山梨・静岡・三重・京都・大阪・兵庫・香川・高知・長崎・大分・熊本から参集。休憩時間のたびに活発に名刺交換が行なわれ、換気とディスタンスに配慮しながら、熱く語り合い、お互いの経験を分かち合うことができました。
アルコールの当事者が6名、家族が2名、薬物の当事者が2名、ギャンブル当事者が1名、家族が1名、摂食障害当事者2人。支援者は医師・看護師・ソーシャルワーカー・公認心理師・作業療法士・薬剤師・施設スタッフ・保護司・大学教員・ヨガインストラクター・写真家……と多岐にわたっており、当事者・家族で支援者が多いのも特徴でした。
今回も、オンラインゲーム依存のユニットは、講師と会場をZoomでつなぎました。

最終テストと提出物などから総合的に審査し、28名全員が合格しました。
第8回養成講座のようすを写真でどうぞ。最後に受講者の感想もあります。

第8回ASK依存症予防教育アドバイザー養成講座の様子

第8回ASK依存症予防教育アドバイザー養成講座の様子

第8回ASK依存症予防教育アドバイザー養成講座の様子

第8回ASK依存症予防教育アドバイザー養成講座の様子

第8回ASK依存症予防教育アドバイザー養成講座の様子

第8回ASK依存症予防教育アドバイザー養成講座の様子

第8回ASK依存症予防教育アドバイザー養成講座の様子

第8回ASK依存症予防教育アドバイザー養成講座の様子

第8回ASK依存症予防教育アドバイザー養成講座の様子

第8回ASK依存症予防教育アドバイザー養成講座の様子

第8回ASK依存症予防教育アドバイザー養成講座の様子

第8回ASK依存症予防教育アドバイザー養成講座の様子

養成講座を受講して(認定アドバイザーの感想)

【当事者】

●アルコール当事者(香川)
養成講座で、たくさんの出会いと学びをいただきました。
普段の生活では会うことのないような方々とお話することができ、充実した2日間でした。
また、皆さんの熱気に圧倒され、自分も何かやらなきゃという気にさせられました。

●アルコール当事者・回復施設所長(神奈川)
今回は大変緊張した2日間でした。
当事者として、体験談は今まで何回か話す機会があり、その都度、なぜ自分が依存症者になり苦しんできたかを思い出しました。底をつく前に助けを求めることができたのに……と。
この予防教育で、逆に助けられる機会、時期とタイミング、そしてかかわり方を学びました。そして他業種の支援の方々とネットワークができて、仕事ばかりではなく、個人的に視野が広がりました。すべての参加者とのご縁を大切に、この資格に恥じないように精進していきたいです。

●アルコール依存症当事者(千葉)
かつて、依存症真っ只中であったことを振り返ると、シラフで生活を送っていた中で存在を否定されるような経験が契機となり、酔っ払っている自分という仮面を被って日常生活を送り始めたことで、アルコール依存症への道に進んでしまったと感じています。
そして、自分自身が何を求めていたのか、何に苦しんでいたのかもわからないままに迷走の内に行動を続け、人々から敬遠されるようになり、孤独のうちにアルコールに浸る毎日が始まったのです。
居場所を求めて、自分を変えようと決断したのに、結局は孤独に陥ってしまうという悲しい物語でした。
回復者として登壇する講師の方々も惜しみなく自己の物語を語って下さり、依存症に陥る根本的な要因には、居場所への渇望と孤独があるのだと、改めて強く感じました。
そして、その病から回復するには、自分自身を語り続けるしかないのです。
苦しんでいるのは私だけではないと気づいた時に、自分の口から真実の言葉が溢れ出し、私が何に苦しんでいたのか、何を求めていたのかわかるようになりました。
あらゆる依存症の回復者の方から、各々の物語を伺うことで、アルコールに限らず、もっと言うと人が健康に生き続けるためには、自分自身の心を適切に開示しなければならないと強く感じた次第です。
また、依存症に関わる支援者の方々からも、客観的なご意見や多くの依存症者と関わる視点が提示され、非常に有意義な交流が行なえたと感じております。
私は、自分自身に起こった回復が、まさしく奇跡のような体験として深く刻み込まれたと感じています。
今後は、今回の講義で得た知識、そして全国で活動されている支援者の方々の熱意をお借りして、問題を抱えているけれど、どうしていいのか分からない方に、少しでもこの喜びを伝えられるように邁進して参ります。

●アルコール依存症当事者(高知)
アディクションの最新の現状を知る事が出来た。
受講者が、いろいろな立場の方がいて、いろいろな、考え方や見方を知れて面白かったです。

●薬物依存症当事者(神奈川)
全国から多職種の方々が受講していることに驚きました。
当事者である私は、こんなにたくさんの方が依存症に興味を持ち参加されていることを、
とても嬉しく感じました。
養成講座の内容も濃く、皆さん積極的に手を挙げ発言する様子に多少圧倒されましたが、
会場の学ぼうとする空気が心地よく感じました。
講師の方々も依存症のスペシャリストばかりで素晴らしい講座でした。

●薬物依存当事者・社会福祉士・精神保健福祉士(神奈川)
最新事情や歴史を知ることで、知らない依存症の側面を理解することができた。声をあげることで、社会全体で依存症への理解と回復の受け皿をつくりたいなあと考えた。当事者だからわかってくれよではなく、一緒に考え続けましょうという「依存症の社会モデル」を発信していきたいと思います。SNSや予防教育活動を通じて、ひとりの回復を支援しながら、依存症になる前の早期相談や支援につながる研究をしていきたい。

●ギャンブル依存症当事者(兵庫)
先輩アドバイザーの方が実演してくれて、リアルな話しを聞くことができました。また、今回様々なアディクション当事者・家族、支援職の方々と関わらせていただきましたが、皆さん本当に温かい人たちばかりで、こういった依存症に理解のある仲間がいることが依存症当事者として本当に有難いと思いましたし、皆さんから依存症に関する活動への刺激をいただきました。私自身はこれまでギャンブル依存症当事者の立場で当事者支援の活動をしてきましたが、これからは予防の観点も意識して、自分自身の経験を伝えていけるように行動をしていきたいと思います。

●摂食障害当事者(神奈川)
様々な立場や経験の方々と学ぶことができたこと、お話が聞けたことがとても良い経験になりました。経験してきたことや、取り組んでいる活動などは様々だけど、依存症の予防教育をしたいと思う気持ちはみんな一緒で、皆さまからパワーを頂いたように思います。
今後自分がアドバイザーとなった時に使うことのできる資料を使った講座内容だったので、どのようにスライドを使って講演をしたら良いか想像することができました。
イメージがついたことで今後活動する上での参考になりました。
それぞれアドバイザーの方が講義をしてくださったので、経験談なども踏まえて聞けて、より興味をもって聞くことができたと思います。なので自分が講義をすることになったら経験を踏まえて、話したいと思いました。
自分で考える時間や、他の方と実際に関わりながら学ぶ場面もあって、ただお話しを聞くだけではなく、講義を全体で作っているという感覚がとても素敵だなと思いましたし、より理解が深まったように思います。
一番印象に残っているのは3つの顔を使って、依存症になるまでや回復に向かうまでの感情を表すというものです。普段いちいち立ち止まってみることのあまりない感情を流れで把握してみて、当事者は振り返りや自分の状態の確認になるし、非当事者は当事者の目に見える問題行動など以外を知ることができるのではないかと思いました。
自分自身を振り返りながら他の方のお話を聞いていました。学びや、新しいつながり、自身の中での気づきなどがあり、とても充実した2日間でした。

【家族】

●アルコール依存症家族・看護師(長崎)
今回の養成講座で、依存症の根っこは同じという事を実感致しました。今までアルコール依存症を学び、家族としての回復に向かって歩んでいましたが、ギャンブルや薬物、ゲームなど何本も道は並んでいたのだと気づきました。依存症回復の道が、虹のようにどこまでも続いているのだと気づき、回復への道に広がりを感じました。
思うようにならない事の方が多い人生、何とかしようとアディクションに手を伸ばし、いつのまにかしがみつく事は、誰にでもいつでも起こり得ることです。予防教育の必要性を強く感じます。何ができるか模索中ですが、できることから少しずつ始めていきたいです。

●ギャンブル・アルコール依存症家族・社会福祉士(東京)
2日間の養成講座で、依存症という病気、ならびに予防について改めてじっくり学ぶことができました。
私はギャンブルとアルコールの家族です。特にギャンブルについては、若年期におけるギャンブルと金銭両面での正確な予防教育の重要性を強く感じています。
これからは、家族という当事者性を持ちながら、「依存症予防教育アドバイザー」として、家族支援や関係各所との連携を深めたいと考えています。

●アルコール依存症家族・ヨガインストラクター・写真家(神奈川)
正しい知識を伝えるのはもちろんのこと、自分の体験を通して経験と感情をシェアすると、伝えたいことが伝わりやすいと感じました。合格の嬉しさとともに、今後の責任をヒシヒシと感じております。

【支援者】

●精神保健福祉士・スクールソーシャルワーカー(福島)
2日間はあっという間でした。コロナ禍で参加に辿り着いたことが何よりうれしかったですが、スタッフの方だけでなく、参加者お一人おひとりのバックグランドに触れることができて、貴重な時間を過ごすことができました。
私は、子どもたちへのゲーム・ネット依存に関わる活動をしたいと考えて参加しましたが、他の依存症を学ぶうちに、依存に行き着く背景に共通するものを感じました。依存症全体を学ぶことの意義を痛感しました。
子どもたちのことで課題を持ちながら参加したのですが、2つのケースで、参加者に相談をしたところ、解決の糸口になるアドバイスを頂きました。多職種との連携が大切なことも学ぶことができました。

●薬剤師(大阪)
熱気溢れる内容で大変刺激を受けました。普段あまり接することのない当事者・ご家族・多職種の方々から、たくさんのエネルギーをいただきました。日常控えめな業務になりがちな薬剤師ですが、出来ることはたくさん見えてきています。自分自身の視点を変えて活動に参加していかないとと、使命感いっぱいです。行動していきたいと思います。

●大学教員・精神保健福祉士・社会福祉士・公認心理師・AC当事者(大分)
2日間、有意義な学びを得ることができました。
プログラムの構成も素晴らしいもので、特にライフスキルについてしっかりと学べる点が良かったと思います。また当事者・家族・支援者(当事者性のある支援者も含む)が一同に集まり共に学ぶ場というのは他にはなく、そこが本講座の魅力のひとつだと感じました。
今回の講座では、予防教育において必要な知識・技術を学ぶことはもとより、自分自身の生き方を振り返る良い機会となりました。それは「依存症は他人事ではない」ということです。
私は精神科病院のソーシャルワーカーとして、依存症に苦しむ人の支援に携わる一方で、「自分も人生の歯車が少しずれていたら、間違いなく依存症になっていた」と常々思っていました。しかし人生の様々な場面で、何かがストッパーになっていたのです。
飲めない体質だったから、アルコール依存症にならなかっただけ。薬物使用者との深い接触がなかったから、違法薬物を使わなかっただけ。生活困窮家庭で育ち中学生からアルバイトを余儀なくされ、お金の大切さを知ることで、身の丈に合わない買い物やギャンブルに走らなかっただけ。同様にファミコン世代にも関わらずゲームにハマらなかったのも、経済的理由でゲーム機が買えず、そのまま関心を持つことなく大人になっただけ。対人緊張が強く特に異性との関わりが苦手なため、恋愛やセックスに没頭しなかっただけ。
さらに苦学生として進学した大学は社会福祉専攻で、授業で依存症について学ぶ機会があったことで、ストッパーが強化されたのです。
ノンアサーティブな私は、上記の良い偶然が重ならなければ間違いなく何かの依存症になり、苦しんでいたことでしょう。今までは持ち前の冷静さと我慢強さで保っていましたが、いつ崩れるか分からない。そのために私自身のライフスキルを高めていきたいと思いました。
また、依存症予防教育アドバイザーは単に目の前にいる人々に正しい知識を伝えていくだけでなく、社会へ働きかけ、変えていくことが求められている。その重要性に気づいたことも大きな収穫です。各ユニットの講師の先生やASKの運営スタッフの方々はもちろんのこと、8期生として共に学んだ参加者の皆さまのサポートによって、私もアドバイザーになることができました。感謝の気持ちでいっぱいです。依存症に関する正しい知識を普及させるため、頑張っていきたいと思います。

●看護師(山梨)
当事者の方がアドバイザーの資格を持ち、そこで講義をしてくれることが、とてもリアルで勉強になりました。

●社会福祉士・公認心理師(栃木)
とても充実した二日間でした。依存症のメカニズムはもちろんですが、体験を通してお話ししていただけることで心が動き、生きづらさや回復への道を伝えるということを感覚として体験することができました。そして、ライフスキルは感情やアサーションを利用しており、心理師としてもとても重要なカリキュラムだと感じました。
沢山の先輩らにお力添えいただきながら活動していけるというイメージも沸き、地域に広めていくビジョンを描くことができました。素晴らしい研修をありがとうございました。

●社会福祉士・精神保健福祉士(京都)
私は主に三次予防を行ってきましたが、この講座を受けまして、かなり視点が広がりました。一次予防が三次予防にもつながることを、講義を受ける中で実感いたしました。それから、これまで援助職の人たちに向けて依存症についてや関わり方の講義等を行ってきましたが、なかなかそれらが受講者の実践に生かされているような実感が持てずにいました。この講座を受けて感じたことは、この依存症については、まずは自分ごととして捉えることから始めることが重要なんだということです。
一次予防は自分に焦点を当てて聞くことができるのではないかと思いました。誰かのことではなく、自分のこととしてこの依存症問題を考える機会を提供していくことが二次予防、三次予防に繋がっていくのだと思います。
そしてやはりライフスキルです。これを特に早い段階で子どもたちに話をしていけたらいいと思います。そして一度きりにはならずに、予防教育を継続して受けられることが必要かと思いました。
講義内容や資料は、自分が実際に予防教育をすることを想像していけるようなものでしたので、行動に移すことへのハードルが少し低くなるように思いました。がんばります!

●産業医(三重)
講義で依存症に対する考え方が大きく変えることができたとともに、当事者やご家族と触れ合えるなど、様々な立場を越えた方々と一緒に貴重な時間を過ごせて学びが多かったです。これからもこの活動が徐々に大きな輪と広がっていくのが楽しみです。

●医療ソーシャルワーカー・社会福祉士(大分)
自身を顧みることができました。私も当事者家族なんだと再認識できました。
たくさんの方から話を聞いて、依存症は回復できるという理解を体感的に感じることができました。

●保護観察官・社会福祉士・精神保健福祉士・公認心理師(北海道)
私は普段、職務で薬物ユーザーの三次予防に携わっている者ですが、学校などでいわゆる乱用防止教室の講師を依頼されることもあります。そんな時に排除を基調とする話ではなく、回復の希望も伝えるような話をすることができたら、と常々考えていたところ、複数の友人・知人が依存症予防教育アドバイザー養成講座を受講したと知り、少しでも自分の仕事に役立つなら…と申し込みました。
実際に受講してみると、講義の方法等を学ぶことができたのはもちろん、コロナ禍の中、依存症をめぐる状況にも変化が生じていることも含め、知識をアップデートすることができました。そして何より、全国の多くの仲間と出会うことができました。これは何にも代え難い財産です。これからも仲間たちとともに研鑽に励みたいと思いました。本当にありがとうございました。

●看護師・アンガーマネジメントコンサルタント(宮崎)
養成講座では多くの気付きと学びを深めることができました。これから予防教育の実践へ向けて、講座の振り返りと地域で活動されているアドバイザーの皆さんと情報共有しながら準備を進めていきたいと思います。

●作業療法士(静岡県)
私は県内の依存症専門病院に勤務しています。元々ASKさんのBe!や冊子を購読させていただいていたので、依存症予防教育アドバイザーには興味がありました。何度も応募し念願の受講となりました。今回、県内の高校からの依存症予防教育を依頼されたこともあり、講座の内容が実践的だったことで、自分が実際にどう高校生たちに伝えていこうか具体的に考えることができ、大変勉強になりました。参加者は当事者、家族、支援者など様々で、それぞれの視点からの意見が聞けることが良かったです。医療従事者として正しい知識を伝えることばかりに目がいっていましたが、今回の講座を受けることで、依存対象物に繋がらないためのライフスキルの獲得も同時に伝えていくことが大切だと感じました。