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目次
 
こんなにある依存性薬物の種類
アルコール
 ビール、ワイン、ウイスキー、日本酒、焼酎、リキュールなどは、いずれも「エチル・アルコール」が主成分。合法的に市販されているが、れっきとした依存性薬物だ。なお、未成年の飲酒は成長期の心身に大きなダメージを与えるため「未成年者飲酒禁止法」で禁じられている。作用はヘロインなどのモルヒネ型薬物に似て、身体依存性が高く、離脱症状は激しい。
 臓器への急性・慢性毒性があり、急性アルコール中毒で死に至ることも。慢性毒性としては、肝臓病や脳の萎縮をはじめ、すい炎や糖尿病、骨粗しょう症、さらに上部消化器ガン(食道ガンなど)のリスクも高まる。多量 の飲酒によって、からだは病気の見本市のようになる。
 未成年者にとっては、違法薬物へと移行するきっかけになる入り口のドラッグでもある。また、違法薬物を転々と使用した後に再びアルコールへ戻るという最終のドラッグにもなっており、深刻な複合依存を招いている。
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睡眠薬、抗不安薬
 処方薬だが、医原病として薬物依存症を引き起こすケースがあり、医療関係者自身が薬物依存になるケースも問題化している。乱用目的の非合法な流通 もある。処方の主流は、依存性・急性毒性の高いバルビツール酸系から非バルビツール酸系、さらにベンゾジアゼピン系へと移行している。
せきどめ薬
 合法的な市販薬。主成分は、塩酸メチルエフェドリン(エフェドリンは覚醒剤の原料)と、リン酸ジドコデイン(コデインはモルヒネ型の薬物)。1980年代半ば、製品のひとつ「ブロン」の乱用が問題化した。現在、この製品からはエフェドリン成分が除かれており、2000年には、ブロン液の濃度が二分の一に薄められる処置がとられた。
シンナーなど
 いわゆるシンナーは「有機溶剤」と総称され、主成分はトルエン。本来は塗料など油性のものを「溶かして薄める」ことが目的の物質。吸引すると、脳を有害物質から守っている脂肪の膜を簡単に通 り抜け、脳細胞を徐々に溶かしてしまう。「毒物劇物取締法」により吸引目的の所持・販売が禁止されているが、アルコールと並んで低年齢から始められることが多い。
 シンナーの俗称「アンパン」に対し、ガスボンベやライターのガスは「ガスパン」。接着剤(ボンド)が吸われることもある。いずれも幻覚・幻聴が出やすい。脳を酸欠状態にさせるほか、臓器への毒性、精神毒性が高く、ブラックアウト(薬物使用時に起こった出来事の記憶が部分的になくなること)や後遺症の出現も多い。

覚せい剤
 メタンフェタミンとアンフェタミンがあり、通称「シャブ」「スピード」「エス」「冷たいもの」「クリスタル」などと呼ばれている。メタンフェタミンを「赤ネタ」と呼ぶこともある。日本でもっとも乱用されている違法薬物で、やせ薬、セックスドラッグ、集中力を高める薬としてすすめられることも。粉末のほか錠剤やカプセルがあり、吸引(あぶり)、注射(ポンプ)、粉末を飲み物に溶かすなど、さまざまな形で摂取。処方薬である「リタリン」を代用品として乱用するケースも目立つ。
 覚せい剤は、第二次世界大戦中、特攻隊の出撃時や軍事工場での労働効率をあげるために使用され、戦後、乱用が問題化。1951年「覚せい剤取締法」で使用・売買・所持が禁止された。1990年代に入り若者の使用が急増し、第三次覚せい剤乱用期に突入している。
 覚醒作用が強いため、使用すると眠れなくなり、その反動で切れたときの虚脱感(いわゆるつぶれ)が激しい。そのギャップに耐えかねて使用が進むケースが多い。
 劇的な高揚感と自信をもたらすことから精神依存が形成されやすく、一方で毒性も高い。多弁、妄想、発作的自殺などの急性精神毒性、大量 服用死、食欲不振、嘔吐、下痢など臓器への毒性、さらに、うつ、疲労感、混乱などの慢性精神毒性があり、幻覚や追跡妄想が出る。薬物を断った後も、飲酒やストレスをきっかけにフラッシュバック(突然、使用していたときと同じ精神状態になる)が起こるなど、深刻な後遺症に見舞われるケースも。
マリファナ *大麻
 葉の部分は「マリファナ」「クサ」「ガンジャ」、大麻樹脂は「ハシシュ」「チョコ」などと呼ばれる。パイプあるいは煙草に混ぜたりしてペーパーで捲く喫煙摂取が主。これを「ジョイント」という。精神依存のみで耐性形成や身体依存性はないと言われているが、これに疑問を呈する専門家も多く、実際には日本を含め世界のほとんどの国で非合法な薬物として規制されている(日本では「大麻取締法」で禁止)。特にここ10年出回っているマリファナは、大麻に含まれる麻酔成分(THC)が強力なうえに、タールも煙草の1.5倍と言われる。
 記憶障害、生殖能力の低下、遺伝子への悪影響、免疫機能の低下などが起こるほか、摂取後24時間は運動能力や判断力に影響が残ると言われ、海外では摂取しての運転による交通 事故も問題になっている。乱用により「カンナビス痴呆」といわれる大麻精神病や、フラッシュバックなど後遺症が出ることも。ほかの違法薬物への入り口となるケースが目立つ。
LSD
 LSD(リゼルギン酸)は強い幻覚作用があり、急性精神毒性は非常に高い。「アシッド」「マイクロドット」の名で呼ばれることもあり、ミシン目を入れた切り取り式の紙に吸い取らせたものから、錠剤、カプセルなど形態はさまざま。「麻薬及び向精神薬取締法」で禁止されている。
 ごく少量で感覚の混乱、幻覚、幻聴が起きるのは、脳の中で視覚情報と聴覚情報の混乱が生じるため。いわゆる「バッドトリップ」を体験して長期にわたる精神的ダメージを受けたり、フラッシュバックの出現もある。なお、LSDと似た作用を持つマジック・マッシュルームには、サイロシビンという成分が含まれており、「麻薬」に指定されている。
ヘロイン
 モルヒネから合成された薬物。麻酔性、依存性はきわめて高い。多幸感をもたらす一方、倦怠感、悪心、嘔吐などが起こることも。離脱症状は、筋肉や関節に激痛が走り、悪寒や下痢に見舞われるなど激しいもので、短期間の使用でも現われる。日本では1960年代に乱用が増加。「麻薬及び向精神薬取締法」で禁止されている。鼻からの吸引、注射、あぶりなどで摂取。
コカイン
 「麻薬及び向精神薬取締法」で禁止されている。作用時間が短いため、頻繁な使用から依存に陥りやすい。アメリカで社会問題化、日本でもコカインを精製した「クラック」が流行。鼻からの吸引、注射、吸煙などで摂取する。慢性毒性はかなり高く、コーク・バグと呼ばれる皮膚の内側を虫が這いずるような精神症状が生じることも。
類似薬物
 いわゆる「デザイナー・ドラッグ」。違法薬物の分子構造の一部に手を加えることで法の網をすり抜けようとしたもので、元になった薬物より危険な場合もあり得る。90年代には「エクスタシー」(MDMA:アンフェタミンの合成薬物)が流行。イギリスで急性中毒死が相次いだ。日本ではMDMAは「麻薬及び向精神薬取り締まり法」で禁止された。エクスタシーとして出回っている中には、本物の覚せい剤やまったくの偽物もある。
ニコチン
 タバコに含まれるニコチンは、合法的に市販されている依存性薬物。未成年の使用は「未成年喫煙禁止法」で禁じられている。興奮作用を持つが、神経が興奮している状態では鎮静の効果 をもたらす。作用時間が短いこともあり、反復使用に陥りやすい。アメリカでは1987年、精神障害の分類に「ニコチン依存症」の名が登場。WHOでも、アルコールや覚せい剤などと同様、中枢神経に作用して依存を引き起こす「薬物」として位 置づけられた。肺ガンのリスクや、間接喫煙の害は言うまでもない。日本でもタバコ依存を治療する医療機関が増え、離脱症状をやわらげるための「ニコチンパッチ」や「ニコチンガム」の処方も行なわれている。喫煙者の方は、試しに下の質問で依存度を計ってみてほしい。

【タバコ依存度評価表(ファガストローム、1978)】
起床してから何分後に喫煙しますか? 30分以内なら1点
教会や図書館などのように喫煙が禁じられている場所で喫煙することがとても難しいと感じますか? 「はい」なら1点
1日の喫煙の中でどれが最も充足感を与えてくれますか? 朝の1本目なら1点
1日に何本喫煙しますか? 16〜25本なら1点、26本以上なら2点
他の時間帯に比べ午前中により多く喫煙しますか? 「はい」なら1点
ほとんど一日中臥床しているような病気の時でも喫煙しますか? 「はい」なら1点
どの銘柄のタバコを吸っていますか? 低、中、高ニコチン含有度に応じそれぞれ1、2、3点
どれくらいの頻度で深く吸引しますか? 「時々」なら1点、「いつも」なら2点

●合計点が高いほどタバコ依存度は高く、6点以上は高い依存レベルにある

『タバコはなぜやめられないか』(宮里勝政 著 岩波新書)より