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目次
 
飲酒運転で実刑判決を受けたKさんの手記
 
甘かった認識
私は、ある愚かな交通違反――飲酒運転――を犯し、その報いを受けて、現在絶望と失意の日々を送っております。
お酒を飲んでも自分は運転がうまいし、酔わないから運転しても事故さえ起こさなければ大丈夫……そんな風に考えることが恐ろしい過ちであることを、私は身をもって知りました。アルコールの影響下で運転をすることは、その事を認識しているいないにかかわらず、運動能力、判断力など、運転する上で重要な鍵を握る各種の能力を著しく低下させ、第3者を巻き込む重大な事故を起こす可能性をもちます。よって飲酒運転は、“未必の殺人”として罰せされるべき重大な「犯罪」なのです……。
アスクの方々と知り合う機会を得て、同じような過ちが少しでもこの社会から減ることを願い、私の経た一連の経験を記し、ホームページ上で公開することを決心いたしました。なぜなら、私の身に起こったことは、起こる寸前まで私の日々の暮らしからは想像がまったくできないものだったからです。つまり、ホームページをご覧になる方々の身にも、ご自身の過失により、十分おこりうる出来事であることをお伝えしたいと考えているからです。
 
酒気帯び運転で現行犯逮捕――21日の拘留
私は、2年前に酒気帯び運転で起訴され、正式な裁判を受けました。判決は懲役3ヵ月、執行猶予2年という温情あるもので、おかげ様をもちまして、判決以降も上場企業の取締役として充実した生活を送っておりました。しかしながら、気の緩みと仕事からくるストレスで、あろうことか執行猶予期間中につい再びお酒を口にして運転してしまいました。そして警察の呼気検査を受け、酒を飲んでいることがわかり、その場で現行犯逮捕されました。
“人身事故を起こしたわけではないので、なんとか厳しい刑罰にならないでほしい。”そんな私の甘えた望みは根本的に間違ったものでした。72時間の警察・検察による取り調べののち(資料1)、10日間の拘留が決まりました。
拘留中、警察と検察の厳しい取調べが続きました。会社にも連絡をつけることができず、家族とも自由に話せず絶望的な日日が続きました。拘留中の留置所では覚せい剤の常習者や、窃盗で全国指名手配の人、海外からの不法入国者など、普段の生活では出会わない人々と同室で、日々自分の犯した罪がどれほど重いものであったかを実感させられました。窓のない8畳ほどの部屋で最高6人で暮らし、外の空気を感じられるのは体を動かすための部屋での朝の10分間だけでした。まったく自由がなく、いつになれば出られるかわからない日々。気が狂いそうになりました。取調べのために検察庁に移動するバスの中から逃げ出したい衝動に何度もかられました。窒息しそうでした。
10日間の拘留を経て、5日間の拘留延長が決まりました(資料2)。そのときの絶望感はとても表現できません。さらに拘留の最終日に起訴が決まりました。当然のことながら留置所の中で、どうしようもなく深い絶望感に打ちのめされました。家族と弁護士先生は何とか保釈許可を取り付けようと必死の努力をしてくれ、許可がおりて、留置所から出所できたのは21日を経た後でした。
 
懲役4ヵ月の実刑判決――失ったものの大きさ
それから、裁判に向けての準備が始まりました。自分の犯した罪をひとつひとつ再確認しながら、証拠書類を制作する作業は本当に情けなく辛いものでした。2度の公判で自分の過失の愚かさ、浅はかさをつまびらかにされ、突きつけられ、激しく攻め立てられました。下された判決は懲役4ヵ月の実刑判決。さらに、会社に対しては正式な説明なく会社を休んだことや、取締役として不適格であるとの理由から、退職願いを提出し退職せざるを得ない状態になりました。
今や、社会的地位も、経済的基盤も完全に失い、呆然と反省することしか私にはできません。人生の全てが根元から変わってしまいました。これからどう生きていったらよいかもわかりません。違反を起こした日に戻れるなら、飲酒して運転することなど死んでもしない。しかし、どれほど望んでも時計の針を戻すことはできない。なんということを自分はしてしまったのか。そんな砂を噛むような思いに苛まれながら、毎日時間が過ぎていきます。
お酒を飲んで運転し事故を起こし第三者を巻き込むことにより、一生を棒に振ってしまう人が後をたたないだけではありません。もし、幸いにして私のように事故を起こさないとしても、お酒を飲んで運転をすることは重大かつ深刻な犯罪であること。その行為を罰する法律は容赦なく厳格であることを忘れてはならないと思います。
そして、それは、あなたの人生にも起こりうることだということも。

【資料1】逮捕後の手続に関する刑事訴訟法の条文
刑事訴訟法 第205条〔司法警察員から送致された被疑者に対する検察官の手続、勾留請求の時間の制限〕
(1)検察官は、第203条の規定により送致された被疑者を受け取つたときは、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者を受け取った時から24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。
(2)前項の時間の制限は、被疑者が身体を拘束された時から72時間を超えることができない。
(3)前二項の時間の制限内に公訴を提起したときは、勾留の請求をすることを要しない。
(4)第一項及び第二項の時間の制限内に勾留の請求又は公訴の提起をしないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

【資料2】勾留期間に関する刑事訴訟法の条文
刑事訴訟法 第207条〔被疑者の勾留〕
前三条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない。
(2)裁判官は、前項の勾留の請求を受けたときは、速やかに勾留状を発しなければならない。但し、勾留の理由がないと認めるとき、及び前条第二項の規定により勾留状を発することができないときは、勾留状を発しないで、直ちに被疑者の釈放を命じなければならない。
刑事訴訟法 第208条〔勾留期間、期間の延長〕
(1)前条の規定により被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から十日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
(2)裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。この期間の延長は、通じて十日を超えることができない。