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目次
 
カリフォルニア州の飲酒運転再犯防止システム
< 概 要 >
ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)
代表 今成知美

<教育・治療>という視点

アメリカの飲酒運転再犯防止対策は、<処罰・制裁><教育・治療>の2つの側面で構成されている。
その根幹にあるのは、「飲酒運転の背景にはアルコール依存などの飲酒問題がある」という認識。そこで検挙者にアルコール問題についての教育を施し、必要がある人は治療につなげる介入システムが考え出された。
この動きは1980年代に広まり、現在では50州中42州が何らかの方法で実施している。この施策のポイントは、警察・司法・自動車局・治療機関・依存症の自助グループ・市民団体などが連携することで、かなめになっているのは「DUIコート」と呼ばれる飲酒運転を扱う簡易裁判所。アルコール問題の知識を持つ検事・裁判官がいて、再犯防止のため<処罰・制裁>と<教育・治療>を組み合わせた判決を下し、保護観察期間を設けて裁判所自身が判決の履行を見守る。DUIコートは薬物事犯を扱うドラッグコートの成功を参考につくられ、全米で約300あり、設立が推進されている。
 ※DUI=Driving Under Influence(アルコール・薬物の影響下での運転)

   

カリフォルニア州のDUIプログラム

2006年11月、カリフォルニア州ロサンゼルスのしくみを視察した。
カリフォルニア州では他州に先駆けて1978年に、教育・治療(DUIプログラム)の導入を立法化。
特徴は、DUIプログラムを修了しないかぎり免許の再交付を受けられないシステムである。プログラムに税金は一切使われておらず、すべての費用を違反者に負担させるところもユニークだ。

 

DUIプログラムは教育・グループワーク・個人カウンセリングからなり、ガイドラインに沿って州が認定した民間団体(NPO)が実施している。
1回3時間を週に1回。期間は初犯では3・6・9・12ヵ月があり、再犯では18・30ヵ月がある。期間は裁判所が決定する。
目的は、アルコールの有害性を学び、自身の飲酒行動を振り返って、飲酒運転を起こしているライフスタイルを変容させること(節酒、あるいは断酒)。参加期間は禁酒を誓約しなければならない。
たいていは、1時間程度の教育セッションのあとに、その内容をテーマにしながら、カウンセラーがファシリテーターとなって10人程度のグループでの話し合いを行なう。カウンセラーは州の認定資格所持者。依存症の回復者が多いため、自身の体験を織り交ぜ、実感のこもった講座となる。
導入時には個別に飲酒問題のアセスメントを行ない、その後も個人カウンセリングを実施。カウンセラーは状況によって、医療機関の受診・解毒治療・リハビリ施設への入所・血液尿テスト・家族カウンセリング・親業クラス・怒りのマネージメント・DUIプログラムの追加などを提案、必要なら他の機関へ回す。また、自助グループ出席状況も継続的に確認し、裁判所に報告する。
DUIプログラムの修了は裁判所の命令であると同時に、自動車局(DMV)による運転免許再交付の必須条件になっている。免許停止と組み合わせることで再犯率が30%低下したという調査がある(1997年)。
カリフォルニア州では、検挙者の半分が30歳以下であるため、若者にはDUIプログラムに加えて、飲酒運転の悲惨さを実感させる以下のプログラムも実施されている。
・MADDのビクテムインパクトパネル…被害者の体験談を聞く会に参加
・HAMプログラム…救急病棟・遺体安置所で指示された作業を行なう

カリフォルニア州で飲酒運転をすると

運転中に警察官に制止を命じられる
   
酒酔い判定テスト (簡易呼気アルコール検査を実施する場合もある)
   
警察署に連行され、正式のアルコール検査を受ける(呼気か血液を本人が選べる)
   
◎21歳以上……基準値BAC 0.08mg/ml (呼気0.4mg/l)以上
 ⇒逮捕 免許証の取り上げ
◎21歳未満……「ゼロ・トレランス」と言い、わずか(0.01以上)でもアルコールが検知されたら 
 ⇒逮捕 免許証の取り上げ 
◎検査拒否 ⇒逮捕 免許証の取り上げ
(免許取得時に、「捜査に協力し、警察・裁判所に血液・尿・などを提供する義務をもつ」ことに同意しサインしており、検査拒否は有罪とみなされる)
※その場で30日の仮免許が与えられ、その間に裁判所・自動車局への諸手続きをする
裁判所
   
DUIコート(飲酒運転の簡易裁判所) ※弁護士をつけられる 
   
判 決

(血中濃度・運転の状況・事故の有無・14歳以下の同乗者の有無・初犯か再犯か・再犯の場合は期間・スピード違反など他の違反・年齢・依存症の治療歴などによって判決が左右される)

<処罰・制裁>と<教育・治療>を
  組み合わせた判決

初 犯   ★印は通常命じられる

裁判所
★保護観察 裁判所による保護観察3〜5年(保護監察官はつかない)
郡の拘置所(jail) 48時間〜6ヵ月
★罰金 390ドル〜1000ドル ⇒裁判所の費用を合わせ、通常1500ドルくらいになる
支払えない場合は、コミュニティ・サービス(路上のゴミ拾いなど)で充当
車への強制措置 インターロック…状況(BAC 0.20 mg/ml以上、飲酒検査拒否、他の交通違反が2つ以上あるなど)によって命じられる場合がある
自動車押収…状況によっては30日
★免許停止 6ヵ月(免許証は裁判所に提出)
※自動車局に申請すると、条件(DUI治療プログラムへの登録または修了など)を満たせば、制限付免許(通勤・通学・通院などに限定)が交付される
※運転免許の再交付には、DUIプログラム修了が必須
★DUIプログラム 3ヵ月(教育とグループワーク3時間×週1×10回+個人カウンセリング3回) ⇒参加費500ドル程度
※BAC 0.20 mg/ml以上/飲酒検査拒否……9ヵ月
※状況により、3・6・9・12ヵ月のプログラムから裁判官が選択
★自助グループへの参加 初犯で通常、AA出席6回(サインをもらい、DUIプログラムを実施している施設に定期的に提出)
MADDインパクトパネル 被害者の体験を聞く会に出席し、感想文を裁判所に提出 
※30歳以下の若者に参加を命じることが多い
HAMプログラム 救急病棟や遺体安置所で作業し、感想文を裁判所に提出 
※30歳以下の若者に参加を命じることが多い

再 犯…10年以内
 
2回目
3回目
4回目
保護観察 裁判所による保護観察3〜5年(保護監察官はつかない) 裁判所による保護観察3〜5年、または保護観察官付 保護観察官付
郡の拘置所(jail) 10日〜1年
あるいは96時間〜1年
120日〜1年 180日〜1年
重犯とされると、州の刑務所に収監
罰金 390ドル〜1000ドル
⇒裁判所の費用を合わせ、通常2000ドル以上
390ドル〜1000ドル
⇒裁判所の費用を合わせ、通常2000ドル以上
390ドル〜1000ドル
重犯とされると、罰金として200〜10000ドル
インターロック 保護観察の手段として命じられる場合がある 保護観察の手段として命じられる場合がある 保護観察の手段として命じられる場合がある
自動車押収 5年以内の再犯は30日 5年以内の再犯は90日 5年以内の再犯は90日
免許停止 2年 3年 4年〜永久取消
DUIプログラム
自助グループ
18ヵ月あるいは30ヵ月 18ヵ月あるいは30ヵ月 18ヵ月あるいは30ヵ月