HOME
 
アルコール健康障害対策基本法
 
アルコール依存症
 
うつ・自殺とアルコール
 
薬物乱用
 
イッキ・アルハラ
 
飲酒運転
 
AC
 
妊娠とアルコール
 
予防プログラム
 
自分らしく生きるための道具箱
 
アスク・キッズ
 
アルコール・ルパンを追え!
 
ASKの本
 
目次
 
 成立までの道のり
ASK通信 52号(2013年12月10日)より・一部改編
アルコール問題議員連盟総会
各党の議員が出席、全党合意を確認した議連総会(2013年11月7日)
 
 上の写真は2013年11月7日、超党派の国会議員からなる「アルコール問題議員連盟」(1987年に全断連の働きかけで発足。以下、議連)の総会。
 この日、「アルコール健康障害対策基本法」の法案提出につき、自民・公明・民主・維新・みんな・共産・社民・生活……全党の合意が確認されました。配布された法案も、それまでの(未定稿)という但し書きがはずれた決定稿となり、上程を待つばかり。
 ASK代表の今成と共に、この場に同席したNPO担当の金田が、記念すべき日の様子をパチリ。
 ここまでの歩みを振り返ってみます。
 
 関係者が「アル法ネット」に結集!
 
 そもそものきっかけは、WHOが2010年5月の総会でアルコール対策の「世界戦略」を決議したこと。
 日本での対策の基盤づくりのため、7月に日本アルコール関連問題学会が「基本法制定推進」を決議し、ASKと全日本断酒連盟に協力要請したのを皮切りに、関係団体が次々と動きを開始しました。日本アルコール・薬物医学会と日本アルコール精神医学会(現・日本依存神経精神科学会 )も推進を決議、三学会合同構想委員会が発足します。
 2011年の震災による中断を経て、12月に議連が基本法への取り組みを決定。
 2012年5月、関係団体が結集した「アル法ネット設立総会が行なわれ、この席には議連に加盟する各党の議員たちや、関係省庁の担当者も顔をそろえました。
 ASKと全断連がアル法ネット事務局となり、議連との協議の窓口を務めることになりました。加えてASKはホームページ作成と運営など情報の整理と伝達、各方面の調整を主として担当。全断連は地元からの議員への働きかけで大きな力を発揮します。
設立総会
アル法ネット設立総会(2012年5月31日)
 
 進化する法案!
 
 アル法ネット設立に先立つ2012年3月、設立委員会は議連に基本法の「構想メモ」を手渡していました。議連は法制局に骨子案の作成を指示。設立総会の当日、議連から最初の骨子案が示されます。
 そこからアル法ネットの要望や関係省庁の意見などを取り入れた修正が始まるのですが、ASKにとっての大きな課題は、酒類業界を「反対勢力にしない」ことでした。7月の間に、ビール酒造組合・日本酒造組合・洋酒酒造組合・小売酒販組合などを回り、基本法の趣旨を説明して一定の理解を得ました。
 政局の混乱をくぐり抜け、5回の修正と法律の名称をめぐる白熱した議論の末、11月14日に骨子案がまとまりました。議連総会での了承が衆院解散宣言の一時間前。ギリギリすべりこみです。
 その後、衆院選挙と政権交代をはさんで、自民党主導の専門家の意見聴取や酒類業界との調整が行なわれ、条文化の作業が進みました。
 家族への深刻な影響に言及し、文化としてのアルコールを肯定する文言を挿入し、基本計画立案における「関係者会議」の位置づけを明確に……こうして修正が重ねられた法案を、2013年6月25日に議連が承認しました。
残る課題は、法律の所管を厚労省にするか、内閣府か。
 実はこの問題、議連もアル法ネットもヤキモキする中、引き受け手が決まらず、宙ぶらりんのまま、3ヵ月あまりが経過することになります。
 
 各地での集い
 
 その間、法律制定を求める動きが各地で盛り上がっていきました。
 2013年5月11日に名古屋で「基本法制定を願う集い」が行なわれ、雨天の中、449人が参加しました。「高齢化する社会、深刻化するアルコール問題」と題した和気浩三医師の講演に続き、飲酒運転防止や虐待防止など各領域からのメッセージ、断酒会員と家族の声など。各党議員からの激励電報が10通も寄せられました。
 9月1日には大阪で「集い」が行なわれ、1239人が参集。猪野亜朗医師の講演、虐待・自殺・介護の関連分野からのアピール、断酒会員と家族の体験談、そして議員連盟の中谷元会長からの報告などです。
 続く12月8日、岡山での「集い」は、なんと基本法成立の翌日。
 急きょ看板をつけかえ、「基本法制定を祝う集い」として行なわれました。
アルコール問題議員連盟総会
名古屋の集い

大阪の集い

〈岡山の集い〉
 
 議員たちのバックグラウンド
 
 議連の中谷会長の原点は、断酒会発祥の地である高知県・下司病院のご近所で、断酒会の看板を見ながら育ったこと。断酒サマースクールにもたびたび参加し体験談をたくさん聴いてきたそうです。
 また、議連の事務局長をつとめる福山哲郎議員は父親がアルコール依存症。大阪の集いで、次のように語りました。
議連三役
議連三役(左から、中谷元会長、
中川正春会長代行、福山哲郎事務局長)
 
「病気が進む中で、家族はさまざまなものを隠すようになる。まず、お酒、次に刃物、そして財布(お金)、そして最後は父を隠すようになった」
「父のことが少し理解できて、頭がいい人で酔っぱらいながらも本を読んでいたとか、いいとことを見られるようになり、大人同士で話ができるようになったとき、父は死んでしまった」
「この基本法は必要です。個人の問題ではなく、社会全体で病気を治すために。隠さなくてすむために」
 議連で基本法成立に尽力された議員には、地元で断酒会の行事などに招待されて本人や家族の体験談を毎年聴いていたり、「親友一家が依存症で苦労するのを見てきた」「実家が精神科病院で家族の苦しみを見てきた」など、この問題への実感が強い方が多く、だからこそ損得抜きで本気でやってくださっているのだと思います。
 
 広がる賛同の輪
 

(↓以下の数字は2013年11月15日現在)
 基本法への賛同団体は、地域団体を含めて363にのぼっています。
 日本医師会・日本内科学会・日本看護協会・日本救急救命士協会などなど、アルコール医療や精神科の枠を超え、賛同が広がりました。
 アルコール問題議員連盟の議員は91人となり、議連以外の賛同議員は16人。
 地方議会が国に基本法制定を求める「意見書」の決議も相次ぎました。広島県・島根県・鳥取県・山口県・愛媛県・大分県・奈良県・和歌山県・愛知県・三重県・北海道・名古屋市の計11道県1市に。全国の断酒会員をはじめ関係者の働きかけの成果です。

賛同団体等についてはアル法ネットのサイトをご覧ください。
http://alhonet.jp/supporter.html
※ASKはアル法ネットの事務局として、上記サイトを運営・管理しています。

 
 所管をバトンタッチする初の試み
 
 さて、残された課題「基本法の所管はどこか?」です。
 健康面の対策を担うのは厚労省ですが、飲酒運転・暴力など関連問題は幅広く、また酒類業界との調整も必要。厚労省としては、単独では仕切れない、との立場。
 一方、関連省庁の連携に強い内閣府は、過重となった業務を整理する方針が打ち出されているため引き受けられない、と言います。
 議連は内閣府を所管とする案を採択しましたが、当の内閣府が首を縦に振らないまま事態はこう着状態になってしまいました。
 この問題に決着がついたのは2013年10月9日。アメリカからFAS研究の権威・ライリー博士を招いての講演会に先立って開かれた議連総会の場でした。
2013年10月9日の様子
議連主催のエドワード・ライリー博士講演会。直前の総会で所管が決定(2013年10月9日)
 

「当初は内閣府、のちに厚労省に移管」という異例の方式でどちらも了承です。
 法案の制定時には、基本計画を作成するため、関連省庁のとりまとめが大きな作業となります。この間は内閣府が所管し、制定から3年以内に厚労省にバトンタッチするのです。こうした移管を附則に明記するのは法制史上初めての試みで、「今後のモデルケースにできる」と内閣府も乗り気になっています。
 というわけで、ついに法案が完成し、全党合意へと至りました。審議を待つ法案が山積みの中、全党で合意した上での上程は、大きな強みです。

 
こうして成立したアルコール健康障害対策基本法、
その全文は「アル法ネット」のサイトをご覧ください。
http://alhonet.jp/law.html#law-3
※ASKはアル法ネットの事務局として、上記サイトを運営・管理しています。
 

ASK通信は、年4回発行の会員向けの会報です。
会員制度についてはこちら

ASKが発行する季刊誌『Be!』では、基本法や基本計画の内容、
啓発週間の報告、自治体の動きなど、関連記事を毎号掲載しています。

 
基本法トップページに戻る