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ライフスキル

大人にも役立つ、思春期向けのライフスキル・コラムです。

――仲間の圧力に負けないスキル

ピア・プレッシャー仲間からの圧力を、英語でピア・プレッシャーといいます。
思春期は特に、ピア・プレッシャーを受けやすい時期です。
それは、仲間の中で自分がどう見られているかがとても気になるから。

仲間の圧力は、よい影響を及ぼすこともあります。
たとえば「あいつがあれだけやっているんだから、自分だってがんばろう」と思うような、いい意味でのライバル関係が育つ場合です。

けれど、危険な圧力もあります。
あなたが望まない行動(たとえば、いじめに加担する・気の進まない場所に行く・万引きをするなど)を強制しようとしてプレッシャーをかけてくるかもしれません。
健康に害のあること(飲酒・喫煙・薬物使用など)をすすめてくるかもしれません。
自分を傷つけるような行動(自分の性を販売の対象にするなど)に誘うかもしれません。
あなたがこうしたプレッシャーに直面したとき、どうしますか?


【ヒント1】プレッシャーを見分けよう

プレッシャーを見分けよう飲酒、喫煙、薬物使用、危険な性行動などは、多くの場合、自分から進んでやったというよりも、「仲間から誘われて」「尻ごみするとみっともないから」といった理由でスタートしています。
仲間の圧力には、直接的なものと、間接的なものがあります。
間接的な圧力とは、言葉に出しては何も言われないけれど「みんながやっているし、やるのが当然」といった雰囲気が存在すること。

直接的な圧力には、以下のようなものがあります。
<強要>「さあ、やれよ!」「ほら、飲んで!」
<あざけり>「できないのか、こわいんだろう」
<おどかし>「一緒にやらないなら、仲間じゃない」
<冷やかし>「さすが優等生!」
<恥をかかせる>「こんなことでひるむなんて、まだ子どもだね」
<いじめ>「一人だけいい子ぶって、裏切り者!」
<いやみ>「どうせ私たちとは違うよね」
<ののしる>「いくじなし!」
<一般化>「これぐらい、誰だってやってるよ」
<甘い誘い>「大丈夫、楽しいんだから」

考えてみましょう。
彼らの言葉や態度は、あなたを尊重しているでしょうか? 
彼らはなぜ、あなたにそのことをやらせたがるのでしょう?


【ヒント2】はねのけるコツはこれ!

はねのけるコツはこれ!「イヤなことは、率直にイヤといって断わる」のが基本ですが、仲間からの圧力に対しては、別のコツも知っておくと役に立ちます。
というのも、相手は「やらないなんて勇気がない」「いい子ぶっている」など、罪悪感や自己否定感を刺激してくるから。
そのために、一度は断われても、二度、三度となると断わりきれないことが多いのです。
そこで、ただ断わるだけでなく、「自分のプライドを保てる方法で断わる」(つまり相手よりも優位に立つ)ことが大切です。

●まず深呼吸して、自分の気持ちをしっかり固める

これはピア・プレッシャーだ

彼らは私に圧力をかけている

私はやりたくない!

自分を守ろう

●きっぱりしたボディランゲージ(動作や態度)を示す
うつむかずに正面から相手を見て、背筋を伸ばす。
肩やアゴの力を抜いてリラックスした姿勢をとる。
相手と自分の間に、安心できるだけの距離をとる。
口調は静かにゆっくりと、語尾まではっきり発音する。

●堂々と伝える
長々と言い訳せず、「私はやらない」「やりたくない」「そのことには興味ない」など、一言できっぱり伝える。

もしも「恐いんだろう?」と聞かれたら、恥かしがらずに落ち着いた声で「そうだよ、恐いよ」と答えてもいいのです。
恐さをきちんと感じて危険を避けるのは、むしろ強い行動です。


【ヒント3】しつこい相手には、この方法!

しつこい相手には、この方法!相手がさらに圧力をかけてくる場合は、次のような方法のどれかが役に立つはずです。

●こちらも圧力で対抗する
「どうしてそんなにムキになってるの」
「いまどき、そんなことやってるなんてね」
「君からそんなこと言われるなんて、がっかりだよ」
「私のこと大切に思ってないの?」
などの言葉で、相手にプレッシャーをかける。

●相手への気遣いを見せて優位に立つ
「そんなことやっているなんて、君のことが心配だよ」
「私、あなたが自分を傷つけてるのを見ていられない」
など、余裕をもった発言をする。

●エンドレスで同じセリフを繰り返す
相手があれこれ言うのに反論しようと必死になると、巻き込まれてしまう場合が多い。
そこで何を言われても、「興味ないんだ、悪いけど」だけを繰り返す。

●さっさと立ち去る
断わったあとで、「それじゃあ、用事があるから」「今日は帰る」と、すぐに立ち去る。
いつまでもそこにとどまっていると、再び圧力をかけられたり、気持ちが揺れたりするから。


【ヒント4】自分へのフォローを忘れずに

自分へのフォローを忘れずに無事に圧力を切り抜けても、友人を失うのではないかという不安が残ったり、断わったことに対して後悔や罪悪感がこみあげてくる場合がしばしばあります。

こうした気持ちを抱えていると、次に圧力を受けたときに対抗するのが難しくなります。
そこで、その日のうちに気持ちを整理しましょう。

一番いいのは、信頼できる友人に「今日こんなことがあった」と話すこと。そうすれば気持ちが落ち着きます。
きょうだいや、年上の親戚、話のわかる大人に打ち明けるのもいいでしょう。

「断われた自分」へのごほうびも忘れずに。
よくやったと心の中でほめてあげたり、大変な思いをした分だけ好きなテレビを観て楽しんだり、ほしかったものを自分に買ってあげるなどです。

もしも怖い思いをした場合には、あなたが頼りにできる大人に話をして、必要なら助けを求めてください。

あなたが「ノー」と言ったことで友人を失ったとしても、それはしかたのないこと。
あなたの自由を踏みにじるのではなく、きちんと尊重してくれる友人は、きっといるはずです。

もしも相手があなたにとって非常に大切な友人で、その人が危険なことに足を突っこんでいると感じたら、信頼できる大人に相談してください。
これは、友人を守るための行動です。