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アルコール関連問題

知識

シフト勤務の職場に必須の「寝酒」対策

不眠に関する国際調査によると、日本では、眠るための方法として「寝酒」をあげる人が3割もいます。けれど寝酒には大きな落し穴があります。

アルコールが睡眠に及ぼす影響

アルコールには脳の働きをマヒさせる「麻酔作用」があるため、飲めば確かに眠くなるし、すぐ眠りも深くなります。けれど1週間ほど寝酒を続けると、睡眠に変化が起きます。深い眠りが減って、浅い眠りが増えていくのです。十分な眠りがとれないうちに目覚めることも増えます。つまり睡眠の量も質も落ちていくのです。
 さらに寝酒を続けていると、かつてと同じ量では寝つけなくなります。脳がアルコールに慣れてしまい、たくさん飲まないと眠れなくなるのです。これが依存症への入り口になります。そして睡眠への悪影響も大きくなります。レム睡眠が分断され、眠りのリズムが乱れてしまうのです。疲れがとれないだけでなく仕事への能力にも支障をきたす可能性があります。
 レム睡眠は脳の学習や成長に関わっているといわれ、環境への対応に役立ったり、性機能の維持にも関係していると考えられています。そのための自然な睡眠リズムを、アルコールは破壊します。

職場の研修に組み込んで

職業ドライバーがアルコールに依存する大きなきっかけは、この「寝酒」。不規則な勤務のために睡眠パターンがくずれやすく、早く眠りに就こうとして寝酒が習慣になることが多いのです。シフト勤務がある職場は、運輸にかぎりません。警察・消防・自衛隊もそうですし、医療・介護、24時間営業の飲食店・コンビニなどもそうです。
 健康に仕事を続けるためには、就寝前に軽い運動をする、ぬるめのお風呂に入る、静かな音楽をかけるなど、お酒なしで眠る方法を工夫すること。シフト勤務の職場では、職場研修の中に、アルコールと睡眠についての知識をぜひ組み込んでください。
 なお、寝酒をしている意識はなくても、日々3単位(ビール中びん3本、日本酒なら3合)以上飲んで寝ている人は、結果的にいつも寝酒しているのと同じことになります。アルコールの影響で睡眠の質は下がり、飲まないと眠れないという悪循環に陥ります。