アルコール・薬物・その他の依存問題を予防し、回復を応援する社会を作るNPO法人「ASK(アスク)」の情報発信サイト

アルコール関連問題

知識

なぜ「うつ」の人はアルコールを飲もうとするのか?

アルコールには、ほろ酔い加減であれば、気分を高揚させる作用があります。
落ちこんだ気分が一時的にはアップするため、「うつ」のつらさを飲酒による酔いで紛らわそうとする場合があります。

特に男性は、つらさを誰かに打ち明けたり、助けを求めたりするよりも「自分の力で何とかしようとする」傾向が強く、その手段としてアルコールという薬物を使用する……
いわば抗うつ薬代わりに「自己処方」することがしばしば見られるのです。

また、うつに伴う不眠の苦しさを解消しようとして、寝酒という手段をとる人も少なくありません。

けれど、これらは非常に危険な方法です。
アルコールは長期的には、抑うつ傾向を高める効果をもたらします。
一時的に気分がアップしたように感じても、連用すればむしろ、うつの症状を強めてしまう結果になるのです。
また、アルコールは眠りの質を低下させるため、睡眠障害も悪化させます。
習慣的な飲酒は、薬物療法の効果を弱めるとの指摘もあります。

ところで、うつ病の人のうちどれぐらいが、飲酒問題を抱えているのでしょうか?
松本俊彦医師(国立精神・神経センター精神保健研究所)らが行なった、日本で初めての調査結果が2011年に発表されました。

この調査では、精神科外来を受診した40~50代の男性うつ病患者の、なんと3割以上が「アルコール依存症水準の飲酒」や、「問題飲酒」をしていたという結果が出ています。

また、女性のうつ病患者でも、全国調査の数字に比較して、各年代でアルコール問題を抱える人の割合が高くなっています。