アルコール・薬物・その他の依存問題を予防し、回復を応援する社会を作るNPO法人「ASK」の情報発信サイト

アルコール関連問題

女性とアルコールに関する活動

マタニティ・ブックの調査

1986年1月、マタニティ・ブック35冊に「妊娠中の飲酒」についての警告があるかどうかを調査しました。
飲酒をNGとしている本は5冊のみ。逆に「ストレス解消」「食欲を増す」「睡眠薬代わり」などとしてすすめているものが9冊もありました。「控える」は14冊、「少量ならよい」が15冊。
ASKは出版各社に対し、妊娠・授乳中は禁酒と明記することと、FAS(胎児性アルコール症候群)に関する記載を要望しました。
その後も、妊婦に飲酒を勧める情報番組に抗議し訂正放送が実現(1990年)、ドラマの中で医師が妊娠している娘に酒を飲ませるシーンに抗議(1996年)など、正しい情報が広まるよう、務めてきました。

レディス・コミックの調査

1989年5月には、当時台頭してきたジャンルであるレディス・コミック18誌で、女性の飲酒シーンを調査しました。
女性主人公の飲酒シーンが登場する物語は37編。そのうち飲酒シーンと恋愛が直結するものが23編と6割を占め、中でも、飲酒→SEXが13編に及びました。
こうしたストーリーが読者に与える影響が気になりました。

女性の飲酒を煽るCMやドラマ

1990年6月18日(月)、教育テレビを除く東京の6チャンネルの全番組とCMを調査(18時から24時)。CMの3分の1が女性をターゲットにしていました。
ドラマでは、「酒豪」の女性がかっこよく描かれていたり、男女の仲を深める小道具として飲酒がしばしば登場。
この調査をもとに、会員に対してもウォッチングを呼びかけ、その後のさまざまな申し入れ(女性の問題に限らず)につながっています。

女性の飲酒を煽るCMに抗議

ウメッシュ(1994年10月)、JINRO(2010年5月)、金麦クリアラベル(2014年7月)などです。

FAS国際シンポジウム

2003年11月8日、独立行政法人・福祉医療機構(子育て支援基金)からの助成を得て「FAS国際シンポジウム」を開催しました。アメリカから招いた講師は、連邦政府のFAS諮問委員会委員長を務めるエドワード・ライリー博士と、ワシントンの国立FASDセンターで専門家の教育にあたる障害児教育スペシャリストのデボラ・エベンセン氏です。
医療・保健・行政・マスコミ・アルコール企業など約200人が参加し、講演やシンポジウムを通じ日本での対策を考えました。
シンポジウムでは、久里浜医療センター(現)の樋口進医師とASKの今成知美が司会を務め、産婦人科医、小児科医、児童精神科医、動物実験の研究者が登壇。講師の二人も加わって、フロアも交え長時間にわたる討論。
このときに導き出された合意事項をもとに、翌年「予防のためのメッセージ」を制作、全国に配布しました。

予防のためのメッセージ
FAS国際シンポジウム報告集(ZIP圧縮ファイル:11.7MB)

母子健康手帳の「控えましょう」を調査

シンポジウムに先立ち、ASKは母子健康手帳にある「飲酒は控えましょう」という表現を具体的にどう受け取るか、看護大学の学生を対象にアンケート調査しました。
結果は、「少しなら飲んでいい」と解釈した人が約42%。その量は、ビールで週0.5缶から14缶まで大きなばらつきがありました。
一般より意識が高く、アルコールについての授業をすでに受けている学生たちです。
この結果をもとに、「控えましょう」では予防にならないことを、シンポジウムの場で改めてアピール。
2004年2月、厚生労働省に対し、母子健康手帳の記述改定を含め、対策を申し入れました。
その後に改訂が行われ、現在、厚生労働省による母子健康手帳「任意様式」の記述は次のようになっています。
「アルコールも胎児の発育(特に脳)に悪影響を与えます。妊娠中は、全期間を通じて飲酒をやめましょう。出産後も授乳中は飲酒を控えましょう」
(自治体により、独自の記述もみられます)
マタニティ・ブックにも「飲酒はNG」と明記されたり、FASやFASDの解説も入るようになっています。

FASの予防対策や支援を申し入れ

2004年2月26日、妊娠中の飲酒のリスクに関する「警告表示」の実施を酒造酒販関連団体に要望。食品安全委員会、国税庁にも同様の要望を行ないました。
厚生労働省には、母子健康手帳の記述の改定/妊婦の飲酒やFASについての調査・研究/妊婦への指導/FASの子どもと家族への支援/援助者の研修などを要望しました。

酒造酒販関連団体宛の要望書
厚生労働省宛の要望書
食品安全委員会宛の要望書
国税庁宛の要望書

「警告表示」の実現

2004年5月10日、ビール酒造組合が6月からラベルや製品に警告表示をつけると発表。文言は、「妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与える恐れがあります」。5月20日に日本洋酒酒造組合と日本ワイナリー協会が、6月11日には日本蒸留酒酒造組合が同様の文言の採用を発表しました。
2004年5月20日、日本酒造組合中央会が「妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に影響するおそれがありますので、気をつけましょう」という文言を発表。これで、すべての酒類に妊娠中・授乳期の飲酒に関する警告表示が入ることになりました。

食品安全委員会が調査

2004年2月の申し入れにもとづき、食品安全委員会は同年6月、BSE問題などで健康への影響を調べる中、「妊婦のアルコール摂取による胎児への影響」もテーマとすることに決めました。
翌年にはFASの科学的知見や海外の状況、我が国の現状と警告表示などについてファクトシートにまとめ、「食の安全ダイヤル」をはじめ妊婦向けの啓発で飲酒のリスクを伝えています。

キャンペーンの成果

若い女性の飲酒率が上昇し2008年の調査では男性を上回る中、妊娠中の女性の飲酒率は2005年の16.1%から2013年は4.3%へと激減しています。
国際シンポジウムから始まった数々の働きかけが、実を結びました。
日本の若い女性の飲酒

アルコールCMは女性をターゲットに

2009年6月、大手酒類メーカー9社のホームページに掲載されている146本・64銘柄のCMを調査したところ、女性を起用しているものは48銘柄(75%)で、男性を起用の44(68%)銘柄を上回っていました。
そのほぼすべてに、「飲酒シーン」やゴクゴクなどの「効果音」が使われ、昼間に屋外で飲むパターンが多く、一人酒のシーンが6割にのぼっていました。
中高生から若い女性の飲酒率の急上昇……こうしたCMの影響もあるのでは?
アルコールCM調査(PDFファイル)

CM規制の強化を要望

2009年7月、上記の調査結果をもとに、ビール酒造組合をはじめ業界団体にCM規制について申し入れました。その内容は、時間規制の強化、「飲酒シーン」「効果音」の禁止、ハイリスクである女性への配慮などです。
また、国税庁、厚労省、内閣府に対し、CMに関する法規制の検討や女性のリスクに関する啓発などを要望しました。
これらのうち「飲酒シーン」「効果音」については、2013年に成立した基本法にもとづく関係者会議をへて、業界団体が自主基準を改定しました。
テレビのアルコールCMの規制強化に関する要望書(PDFファイル)
ゴクゴクCMが消える! 基本法の成果 第1号

女性の飲酒運転を調査

2013年7月、女性の飲酒運転が目立つため、事例を分析しました。
2012~13年 女性の飲酒運転事例の分析

基本法が成立

2013年12月7日、アルコール健康障害対策基本法が成立。
さまざまな関連問題への対策が具体化していくスタートとなります。
なお、「健康日本21」でも、この年度から実施の<第二次>において初めて、「妊娠中の飲酒をなくす」という目標が示されました。
アルコール健康障害対策基本法

国際FASD啓発キャンペーン

2014年9月、胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD)を予防する「国際FASD啓発キャンペーン」に、日本からASKと主婦連が参加。イタリアのベネトンの協力で作成された世界共通のビジュアルを使い、渋谷のスクランブル交差点で啓発活動を実施する様子をSNSで配信しました。
以後、毎年9月にキャンペーンを実施しています。
国際FASD啓発キャンペーン