アルコール・薬物・その他の依存問題を予防し、回復を応援する社会を作るNPO法人「ASK」の情報発信サイト

アルコール関連問題

調査/データ

胎児性アルコール症候群(FAS)と胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD)

妊娠中に多量に飲酒した母親から生まれた子どもに、
(1)特徴的な顔貌(不明瞭な人中/薄い上唇/短い眼瞼裂など)
(2)発育の遅れ
(3)中枢神経の問題
という3つの兆候が現われる例が1960年代末から報告され、1973年に「胎児性アルコール症候群(Fetal Alcohol Syndrome = FAS)」と名づけられました。

さまざまな調査が行なわれた結果、アメリカでは現在、新生児1,000人あたり1~2人のFAS児が生まれていると言われます。ことに、飲酒問題が急激に深刻化した先住民(イヌイットやネイティブ・アメリカン)の間ではFAS児の出生率がさらに高く、たとえばアラスカ先住民では1000人あたり5.6人なっています。各国での調査から、国や民族に関わらず、女性がアルコールを乱用する社会ではFAS児の出生が避けられないことが明らかになっています。〔日本では1991年に、1000人に0.1~0.05人と推定(田中晴美ら)されましたが、その後は調査が行なわれていません〕

一方、FASにみられる特徴的な顔貌がなくても、胎児期にアルコールにさらされたことによる中枢神経の問題(刺激への過反応・注意力の問題・変化への適応困難・学習障害・判断力の問題など、行動障害として現れる)を抱えた子どもたちの存在が注目されました。アルコールに関連するさまざまな身体の障害(心疾患・関節の形成異常など)も浮かび上がっています。そのため「胎児性アルコール作用(Fetal Alcohol Effect = FAE)」「部分FAS(Partial FAS)」「アルコール関連神経発達障害(Alcohol-Related Neurodevelopmental Disorder = ARND)」「アルコール関連先天性障害(Alcohol-Related Birth Defects = ARBD)」などの用語や診断名が使われるようになりました。

こうしたアルコールによる胎児の障害を連続的にとらえる概念として登場したのが、「胎児性アルコール・スペクトラム障害(Fetal Alcohol Spectrum Disorders =FASD)」です。「問題は顔ではなく、脳である」という視点の転換が、その背景にあります。FASに特徴的な顔貌は、胎児の器官が形成される妊娠初期に大量のアルコールにさらされたためと考えられますが、脳は妊娠全期間を通じて発達を続けます。目に見える障害がなくても、脳がアルコールの影響を受けた結果、さまざまな行動障害となって現われる例は少なくないのです。

(2003年11月8日FASD国際シンポジウムにおけるエドワード・ライリー博士の講演をもとにASKで構成)

アスクでは、この問題について以下の活動を行なっています国際FASD啓発キャンペーン
女性とアルコールに関するこれまでの活動

女性は男性より、アルコールの害を受けやすいってホント?
少量の飲酒でも、乳がんのリスクが上昇!?
妊娠中・授乳中の飲酒は、赤ちゃんにどう影響するの?

厚労省「健康日本21<第2次>」に対応した内容です。

ASKリバーシブル予防パンフ①『妊娠とアルコール/女性とアルコール』

※株式会社アスク・ヒューマン・ケアのホームページに移動します