アルコール・薬物・その他の依存問題を予防し、回復を応援する社会を作るNPO法人「ASK(アスク)」の情報発信サイト

薬物乱用・依存

知識

薬物依存症って何?

依存に至るしくみ

薬物を使用する最初のきっかけはさまざまです。

好奇心から。
仲間にすすめられて。
なんとなく。
何かを変えたくて。
もっとがんばるために。
つらい状態をなんとかしたくて。
(医師に処方されて、という場合も少なくありません)

薬物を使用して気分の変化を体験すると、その効果が再びほしくなります。
高揚感を求めたり、あるいは気分の落ち込み・イライラ・不安などを解消したり、もっとうまくやれる自分になるために、薬物を求めるようになっていきます(精神依存)。
こうして使用を続けるうちに、それまでと同じ量では効き目が現われなくなり、以前のような効果を得るためにはもっと多くの薬物が必要になります(耐性の形成)。
さらに、アルコールや睡眠薬・ヘロインなど「抑制」系の薬物は、摂取をやめると非常に苦しい離脱症状が出現します(身体依存)。 この離脱症状を緩和するために、また薬物を使わざるを得ない状態におちいるのです。

一回くらいなら、大丈夫?

いいえ、そんなことはありません。
依存に至るリスクは、その人の体質、自分や周囲の状況、摂取した薬物の種類や量、回数や期間によって違ってきます。
けれど、一回で薬物の作用に「はまる」場合もあります。

また依存のリスクだけでなく、身体や脳は薬物の使用によってダメージを受けます。
度重なる使用でじわじわと現われてくる「慢性症状」もありますが、「急性症状」もあります。中でもLSD、覚せい剤、ハシシュ(大麻樹脂を固めたもの)などは1回の使用で深刻な精神症状を引き起こすことがあります。
危険ドラッグも成分がまちまちのため、錯乱などの深刻な精神症状や、けいれん発作、心拍停止を起こすケースもあります。
身近に思えるアルコール飲料でも、飲み方次第で急性中毒死に至ることがあります。

急性アルコール中毒についてくわしくは

「回復」が可能な病気です

依存の始まりは、人によってまちまちですが、進行のプロセスは驚くほど共通しています。
それはまさに、薬物依存が意志や性格の問題ではなく「病気」だから。

依存症の段階になると、意志の力で使用をコントロールすることはできなくなります。
たとえ一時的に使用をやめたり、薬物の種類や量を変えることでコントロールできているかに見えても、結局は元のような使用に戻ったり、別の薬物へすり替わっただけだったりします。
脳が薬物を求める状態になっているため、それまで楽しんでいた趣味や、大切にしていたもの、大切にしていた人間関係よりも薬物の方が大切になり、すべてを犠牲にしても薬物を使う方向へと追い込まれていくのです。
そのため、家族など周囲の人も深刻な影響を受けます。

さまざまな依存症に共通の進行プロセス
家族はどうすればいいのか

繰り返しますが、薬物依存症は意志や人格の問題ではなく、脳の「病気」です。
そして、専門的な治療や援助を受けることで、回復が可能な病気です。
実際に多くの人が(何度もの服役経験を持つ人を含めて)、専門プログラムを持つ依存症治療機関、「ダルク」などの回復施設、自助グループ「NA」などをへて回復しています。

もし薬物の問題で悩んだり困っていたら、ぜひ治療・相談先を活用しましょう。
本人だけでなく家族の相談も受け付けています。
なお、専門の相談機関に相談して警察に通報されることはありません。

薬物問題の相談先はこちらからどうぞ