「アルコールの有害使用の低減世界戦略(草案)」
 

世界保健機関(WHO)が、アルコールが健康や社会に与える害を防ぐための規制指針案をまとめました。
広告規制や、安売りや飲み放題の禁止や制限、課税や最低価格制による酒の価格引き上げなどを含む、幅広い対策を求めています。
「たばこ規制枠組み条約」と違ってWHO加盟国への法的拘束力は持たず、具体化は自主性に委ねているのが特徴。
各国は地域性や宗教、文化などに合わせて対策を選べますが、その進展について定期報告が求められます。
この草案は、2010年5月の第63回WHO総会において全会一致で採択されました。

アルコール医療に携わる4人の精神科医による「草案全訳」と「解説付き要約」を掲載します。
※原文の英語が難解なため、翻訳の精度を保証するものではありません。厚生労働省から正式な翻訳が出されることを強く希望します。
【PDFのダウンロード】
・草案全訳(371KB)
・解説付き要約(301KB)

<訳、及び要約と解説>
内田恒久 大悟病院院長(宮崎)
田中増郎 慈圭病院精神科医師(岡山)
猪野亜朗 かすみがうらクリニック精神科医医師(三重)
林竜也 財団法人信貴山病院分院・上野病院精神科医師(三重)

【世界戦略への経緯】
「たばこ規制枠組み条約」が採択された2003年ごろから、WHOではアルコールをめぐる議論が高まり始めました。
2004年にまとめられた報告では、本人の健康だけでなく、交通事故や暴力、自殺などにも注目。「世界で250万人がアルコールに関連した原因で死亡(32万人の15〜29歳の若者を含む)」「アルコールの有害な使用は、すべての死の3.8%を占める」とされました。
以来、加盟国間で話し合いが重ねられ、スウェーデンが他の42カ国とともに、たばこのような国際基準を求める共同提案を提出。
危機感をもった世界の大手酒類メーカーは連携して、自主規制による対策で十分であるとアピール。日本でも国際シンポジウムが開かれました。
結局、アメリカ・日本など消極派の反対で、国際基準づくりには合意が得られず、「アルコールの有害使用」を減らすためのさまざまなレベルの行動指針を打ち出したうえで、選択は各国にゆだねる方式をとることになりました。
WHOのサイト(英文)はこちら
http://www.who.int/substance_abuse/activities/globalstrategy/en/index.html