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目次
 
大学の「学生の飲酒事故防止対策に関する取り組み」の分析
2014年2月 イッキ飲み防止連絡協議会
2013年7月12日から、全国の大学748校に「学生の飲酒事故防止対策に関する緊急アンケート」を配布し、321校の大学から回答がありました。
大学の取り組みに関し、新たな傾向が確認できたので報告します。

これまで多くの大学は、学生の自主性を尊重するという立場から、特に踏み込んだ対策は取っていませんでした。しかし、2012年に飲酒によって5名もの大学生が亡くなったこと、2012年5月に文部科学省から「未成年者の飲酒禁止と強要の防止に係る学生指導の徹底について」の通知が出されたことを受け、大学の対応に変化が見られました。
以下、対策の種類ごとに回答内容を紹介します。
1 飲み会・コンパの規制
表1:飲み会・コンパの規制
  実施校数 全回答中
未成年を含む場合は飲酒禁止 94 29.3%
飲酒事故防止対策書類の事前提出 26 8.1%
サークルやゼミ等の飲酒にまつわる伝統(ルール)を調査 15 4.7%

学生の飲み会・コンパに関して「未成年を含む場合は飲酒禁止」とした大学が約3割にのぼった。
「飲酒事故防止対策書類の事前提出」が約1割だった。
注目すべきは、「サークルやゼミ等の飲酒にまつわる伝統(ルール)を調査」に、15大学がチェックを入れていることである。これは大学として一歩踏み込んだ取り組みと言える。

2 学内での飲酒禁止
表2:学内での飲酒禁止
  実施校数 全回答中
キャンパス内飲酒禁止 178 55.5%
学園祭時期のみ飲酒禁止 36 11.2%
その他の規制あり 29 9.0%
図1:学園祭時期の学内飲酒の規制

キャンパス内は全期間飲酒禁止としている大学が、過半数にのぼった。
これに加えて、学園祭時期のみ飲酒禁止としている大学も、1割を超えた。
合わせると学園祭を飲酒禁止としている大学は7割近くである。相次いだ事故への反省が生かされているのではないだろうか。
そのほか、キャンパス内で飲酒可能な場所を限定するなど、飲酒禁止以外のなんらかの規制をかけている大学が1割弱あった。
3 学生へのアルコール教育・指導
図2 学内でのアルコール教育手段


入学時のガイダンスや講義などで学生へのアルコール教育・指導を行なっている大学は199校(61.9%)あった。
図2でわかるように、指導の機会としては「ガイダンスのみ」の大学がほとんどである。
確かにガイダンスは学生を一度に集められる絶好の機会だが、自由記述をみると、ガイダンスでの指導の効果には限界を感じている大学が多いようだ。
下記の項目7でも紹介するが、ガイダンス内で伝える情報はアルコール以外にも数多く「十分な時間がとれない」中で、「危険性が伝わらない」との声があがっていた。かといって、ガイダンス以外に講習の場を企画しても、「時期の設定が難しい」「学生があまり集まらない」など、大学側も苦慮していることがうかがえる。

図3 アルコール教育の実施者


指導・教育の実施者は図3のように、教員だけでなく事務職員も多い。回答の自由記述には、教員の認識不足を訴える次のような声もあった。
「昔は飲酒をコミュニケーションとして活用していたので、学園祭で飲ませてもよいと考えている教員がいること。しかし飲酒による事故防止対策については、事務職員任せであるため、現場の状況をはっきりわかっていない」
4 教職員への注意喚起
学生の飲酒事故防止のため、教職員への注意喚起を行なった大学は、139大学あり、全回答数の43.3%だった。
5 キャンペーンのポスター・チラシの活用
図4 ポスター・チラシの活用時期


毎年、「イッキ飲み防止連絡協議会」では新入学の時期に合わせ、全国の大学に「イッキ飲み・アルハラ防止」のポスターとチラシを送付している。その利用状況を聞いたところ、312校(97%)が「利用している」と答えた。
もっとも多いのは一年生を対象とした入学時のガイダンスでチラシを配布し、同時に学内の掲示板にポスターを掲示するというパターン。
他の方法としては、「夏季・冬季の休暇前にチラシを配布」「新入生歓迎の時期に、部や同好会の責任者にポスターを配布」などがあった。
飲酒事故が発生しやすい「合宿前」「卒業時期」のチラシ配布も効果的と思われるが、実施している大学は少なかった。
6 その他の取り組み
自由記述から主なものを抜粋して紹介する。
●大学祭実行委員に対し、大学祭前に説明および救護演習を行なう
●未成年者飲酒防止キャンペーンを、教職員・学生・地元酒販組合・地元警察等と協力の上実施
(学生へのビラの配布。キャンパス周辺の飲食店へ年齢確認の徹底について協力依頼)
●学生による研究発表
(2〜3年生が新入生を対象に、アルコールが身体にどのような影響を与えるのかを発表する)
●健康診断時に、学生に対し飲酒に関する問診を実施
●ホームページで注意喚起
●メールで情報提供
(他の大学での事故について情報を流したり、イッキ飲み防止のチラシをPDFで添付するなど)

メールによる情報提供は、ガイダンスなどで十分な時間がとれない現状を補う手段として有効と思われる。

7 学生に伝える上で困っていること
自由記述からポイントを分類の上、抜粋して紹介する。

【実態把握・管理が困難】
・実際にどのような雰囲気で飲み会やコンパが行なわれているか把握できないので、指導でも一般論を話すにとどまっている。
・学内は飲酒禁止となっているが、学外までは目が行き届かず、管理に限界がある。
・会場が決まっていれば指導ができるが、野外でバーベキューなどの場合、届け出なく行なわれることがある。
・コンパ等で顧問の立会いがなく学生中心だと、監視ができない。
・未公認サークルや、多数の大学の学生が所属するインターカレッジサークルについては、大学からの伝達が困難。

【指導の機会や時間が確保しにくい】
・入学時のガイダンスでは、学生に伝えなければいけないことが多すぎて、本件にふれられない。
・ガイダンスの時期を夏休み前に移したいが、難しい。
・中学・高校のような「ホームルーム」がないため、全学年への周知が難しい。また、継続的な指導が難しい。
・講習会や説明会を実施しても、学生がなかなか集まらない。

【深刻さが伝わらない】
・ガイダンスの限られた時間の中で、「危険性を伝え、他人事ではないと実感してもらう」のは困難。
・ガイダンス時にチラシを配布して担当教員が説明するが、関心が薄く、チラシさえ持ち帰らない学生が増えている。
・大学に入学したら飲んでもよい、という認識があり、違法行為ととらえない学生が多い。
・真剣に受けとめない、事故の話も他人事として聞きがち。
・話をしても、時間がたつと意識がうすれてしまう。

【周知徹底が困難】
・キャプテンなど責任者に注意喚起しても、部員に伝わらない不安がある。
・啓発を行なっても、学生の理解度をはかる仕組みがない。
・チラシ・掲示物等に注意を払う学生が少ない。
・学年によって伝えたい情報が違うため、テーマを絞った指導が難しい。

【指導・管理する側の問題】
・ストレス解消や仲間とのコミュニケーションなど飲酒のプラス面もあるため、指導が消極的になりがち。
・部活を指導する教職員、OB、学外コーチなどに広報する機会がない。

【そのほか】
・寮やサークルなどの伝統を変えさせるのは難しい。
・アルコールは繰り返し飲んで練習すれば飲めるようになるという誤解が強く根付いている。
・注意喚起を強めると、何かあったときに学生が隠ぺいするのではないかという不安がある。

ま と め

飲酒事故防止の対策が必要だ、という大学側の意識は高まっており、約8割の大学が学内での飲酒を禁止したり何らかの制限を加えています。アルコールについての指導・教育を行なっている大学も約6割にのぼり、指導・教育の教材として「ガイダンス等で使える短い時間のDVD」など、視聴覚教材を求める声が多数ありました。
ただし、担当者以外の教員やOBなどと認識を共有するには困難も多く、「学生の自治」「寮の伝統」なども立ちはだかるようです。
もっとも大きな課題は、どのような機会をとらえて指導を行なうか、学生が実感できる伝え方をするにはどうしたらよいか――という点にあるようです。

 

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