1)飲酒状況について何らかの記述がある事例の中で目立つのは、飲酒後すぐではなく時間を置いたケースで41例。多いのは次の3つのパターンである。
「仮眠・休憩後に運転」「代行などで一旦帰宅後に外出」「翌朝酒気が残る」
……たとえば
・上司や同僚と居酒屋で飲酒後、車内で6時間仮眠し運転、検挙(中学教諭・懲戒免職)
・会合で飲酒、車内で4時間仮眠。翌朝出勤時にガードレールに衝突(小学校教頭・懲戒免職)
・バーベキューで飲み、代行でいったん帰宅、2時間後に外出し追突(自衛隊員・停職20日)
・友人と旅先ではしご酒、9時間後の翌朝、車線変更違反で職質(県立病院職員・懲戒免職)
・送別会から家族の車で帰宅。翌朝、日課のジョギングの後、シャワーを浴びて車で出勤途中に職質(税務課長・停職1ヵ月)
・飲酒後タクシーで帰宅、6時間後の翌朝タクシーで車を取りに行き運転(中学教諭・停職6ヵ月)
| ★「飲みすぎ」と、アルコールについての「知識不足」が背景にある! |
2)アルコール依存症が疑われるケースも多い。
情報が限られるため判断が難しいが、飲酒状況の異常さ(朝や勤務中、車中)・酒量の多さ(呼気濃度の高さ)・飲酒運転の常習性・再犯性・病気休暇中の酒気帯びなどの状況からみて26例。詳細な記載があれば数はもっと増えるだろう。
……たとえば
・勤務中日本酒5合飲酒、帰宅途中に縁石・照明灯に接触(高速道路職員・諭旨解雇)
・コンビニでカップ焼酎4本買い車中で1本飲酒、トレーラーに衝突(高校教諭・懲戒免職)
・酒気帯び検挙で免停中に消防車を運転、再度の酒気帯び検挙(消防職員・懲戒免職)
・自宅で午前中ウィスキー水割り5杯、中央線はみ出し正面衝突(自動車教習所指導員・解雇)
・午後3時から自宅で焼酎水割り4、5杯飲み、路肩に脱輪 0.65mg/l(県職員・懲戒免職)
・勤務中私用外出し、車中で缶チューハイ500mlを5本飲み追突事故(小学校教諭・懲戒免職)
・朝から飲食店と酒店で焼酎お湯割5杯飲みオートバイ運転。0.55mg/l(警察官・懲戒免職)
・病気休暇中、自宅で午前2時半から焼酎3合飲み就寝。午後1時検挙(中学教諭・停職7ヵ月)
| ★依存症には治療と断酒が必要! 職場は早期発見・治療をすすめる対策を! |
3)目的地が至近距離のケースも13例あった。
……たとえば
・休職中、自宅で飲酒後、500メートルはなれた店に向かう途中で追突(高校教諭・停職6ヵ月)
・自宅で飲酒後、レンタルビデオ店へ、踏み切り一時停止をせず職質(高校教諭・停職6ヵ月)
・未明自宅で飲んでうたた寝、午前3時にコンビニへ、電柱・車に衝突(小学校教諭・懲戒免職)
・同僚と飲酒後、最寄り駅に迎えに来た家族と自宅近くで運転交代(地検事務官・減給6ヵ月)
・代行業者がわかりやすいよう、駐車場から表通りまで車を出して検挙(消防職員・停職3ヵ月)
・飲酒後代行で帰るが、自宅手前のコンビニから700m運転(市職員・懲戒免職)
・一緒に飲酒していた女性の同僚の車を別の駐車場に移動(小学校講師・懲戒免職)
・自宅で飲酒後、ゴミ捨て場まで生ゴミを捨てに行くため1キロ運転(市職員・停職5ヵ月)
・代行で帰宅。未明にコンビニへ。蛇行運転をパトカーに発見(県立病院看護師・懲戒免職)
・温泉施設で飲酒しバスで帰宅。家族と口論。車で外出、近くの空き地に停車ししばらく仮眠。
帰宅途中に検挙(県職員・停職6ヵ月)
| ★近さへの油断と、車と飲酒の両方が定着した生活それ自体が落とし穴に! |
4)自宅で飲んで飲酒運転に至ったケースが22例。
……たとえば
・休みに日中自宅で飲酒、夕方娘を迎えに行き、停車中の対向車に接触(警察官・懲戒免職)
・自宅で飲酒し、友人宅へ向かう途中、ブロック塀に接触(市職員・停職6ヵ月)
・自宅で飲酒していたところ、急用ができ運転、速度オーバーで検挙(市職員・停職4ヵ月)
・自宅で飲酒後、マンション駐車場でギアを過ってバックに入れ駐車の3台に衝突(警察官・懲戒免職)
・自宅で飲酒後、近くのスーパーで買い物、帰宅途中追突(市防災安全公社理事長・解任)
・午前中自宅で飲酒、畑に行く途中、道路脇の倉庫に衝突(市職員・懲戒免職)
・自宅で午後1時から1時間飲酒後、2時間仮眠をとり入浴後に運転、検問(警察官・懲戒免職)
| ★飲酒運転に結びつく日頃の飲酒習慣、生活の見直しが必要! |
5)飲酒量の記載がある事例では、多量飲酒が非常に目立つ。これだけ飲めるということは、耐性形成(習慣飲酒によって脳がアルコールに慣れ、酒量が増加すること。アルコール依存症の徴候の1つ)ができているということ。
……たとえば
・ビール中ジョッキ7杯、焼酎水割り2〜3杯(高校講師・解職)
・ビール中ジョッキ4杯と中ビン5〜6本(小学校教頭・懲戒免職)
・ビールジョッキ2杯、日本酒4、5合、カクテル数杯(地裁職員・停職3ヵ月)
・ビール大ジョッキ1杯、焼酎ロック5杯(市職員・停職1ヵ月)
・ビール中ジョッキ2杯、日本酒5合(警察官・懲戒免職)
・ビールジョッキ7、8杯、泡盛の水割り1杯(中学教諭・停職6ヵ月)
・焼酎お湯割10数杯、ビールジョッキ3杯とコップ約15杯(拘置所看守・停職1ヵ月)
・ビール2杯、焼酎3杯、ウィスキー2杯(市職員・懲戒免職)
・ビール2本と焼酎5杯(市バス運転手・懲戒免職)
「免許取消処分者で飲酒運転経験者の6割が日本酒換算3合以上の飲酒者
(樋口進・神奈川県警2007)」との報告を裏づける内容です。 |