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目次
 
 「よろしいですか」「よろしくないです」――気迫の論戦。
ASK通信 59号(2015年9月15日)より・一部改編
 
やるのか、やらないのか

 7月24日、3つのワーキンググループのうち「健診・医療」グループの最終ラウンドである第4回会合がありました。
 これまでの議論をもとに厚生労働省がまとめた「整理票」を見て、ASK代表の今成が異議を唱えます。
「『努める』『検討する』という言葉が、非常に目につきます。せっかく基本計画をつくるのに、語尾が及び腰です」
 確かに、施策の欄にはこんな文章ばかり並んでいます。
「アルコール依存症等の研修について検討する」
「節酒指導プログラムの普及等に関する研究を検討する」
「実態把握の調査研究に努める」
「二次予防地域モデル創設に向けた取り組みを検討する」
 研修を行なうのではなく、研修について検討する? 取り組むのではなく、取り組みを検討する?
 今成の発言は続きます。
「これはどういうことなのか、お聞きしたいです。『検討する』と書いてある場合は、やるのでしょうか、やらないのでしょうか」
 厚労省が回答します。
「担当部署で求められる施策について方向性を議論して考えていくことになると思うのですけれども、今の段階で、まだ実施できるかどうかもわからないところについては、検討するという書きぶりにさせていただいております。ですので、今の段階で必ず行なえるかどうかというのはお答えできないところであります。よろしいですか」
「よろしくないです。現状から前進するために、この関係者会議があるのだと思います。私が座長を務める『教育・誘引防止・飲酒運転等』のワーキンググループでは、関連省庁が非常に多い中で、調整に調整を重ねて、できる限り前進がみられる書きぶりにしていただくことを志しております。『検討する』ではなく、実際の行動に結びつく表現にしていただきたいと強く思います」
 
思いは通じる!

 お役所的な文言を読んでいると、結局は現状の追認で、何も変わらないのか! と思えてきてしまいます。形骸化や玉虫色はこうした世界の常なのかも……。でも関係者会議では、そんな流れに対して委員たちが猛然とツッコミを入れていきます。
 精神科看護の松下年子委員は、具体性が欠けていることを指摘。
「調査研究を、どこが責任を持って担うのか。啓発のあり方を工夫するというのは、どこが、どのくらいの規模で、何をするということなのか、具体的にイメージできない」
 関係者会議の会長を務める久里浜医療センターの樋口進委員も発言します。
「『医療従事者に対するアルコール依存症等の研修について検討する』とありますが、これはすでに、久里浜でも、日本精神科病院協会でもやっています。検討するとは何を想定していますか」
「すでに研修を行なっていることについては私どもも重々理解しておりますので、今後どう拡充していけるかですとか、内容を充実させていけるかですとか、そういった内容を検討するという意味です」
「それがよくわかるように、拡充するという表現にしていただきたい」
 内科医の堀江義則委員も、「どういう機関が連携を担うのか。それを明記しないと、誰かがやるだろうとなってしまう」と指摘。
 今成も、重ねてプッシュします。
「厚労省に対して本当に切なるお願いです。予防のワーキンググループでは、警察庁や法務省などが対策についてかなり踏み込んでくださっています。アルコール健康障害対策のメインは、厚労省です。その厚労省が及び腰だというイメージを作らないことが、とても大事だと思うのです。基本法の事務局も現在の内閣府から厚労省に移管されることになっています。しっかりやるぞという姿勢を示す書きぶりにしていただきたい」
 そして8月半ば、施策を修正した案が各委員に送られてきました。
「一般医療従事者に対するアルコール依存症等の研修を推進する」「アルコール関連疾患患者の診療に携わる医師の人材育成を図る」など、ぐっと前向き・具体的になっています。思いは通じる!
 
さらに議論白熱

 8月17日、「相談支援・社会復帰・民間団体」ワーキンググループの最終ラウンド。
 ここでも施策をまとめた案に対し、さまざまな委員から意見が相次ぎ、議論が白熱しました。
「どの地域においても、わかりやすいアルコール相談支援のアクセスポイントが必要」との文言について——
「問題は、アクセスポイントの周知です。相談を受ける体制があっても、そこへたどりつくまでが大変というのが現状ですから、どうやって周知するかを具体的に記さないといけない」と、全断連の大槻元委員。
「相談支援を行う者に対する人材育成の充実を図る」との文言については今成が発言。
「さまざまな問題の背景にあるアルコール問題が見過ごされている。虐待・DV・自殺防止や、介護などさまざまな分野の人への研修が実現できる言い回しにしてほしい」
 女性や高齢者への回復支援については、再び大槻委員が意見を述べます。
「女性並びに高齢者に対する配慮した対応が必要であることを周知すると書いてあるのですが、誰に周知するのですか。実際に対応する側は、大変さはすでにわかった上で苦労しています。周知ではなくて、対応するためのガイドラインを作成すると言い切っていただきたい」
 議論の中で生まれてきたのは、地域連携がさまざまな施策の土台になる、という共通認識です。
「民間団体・専門医療機関・行政機関などが互いに情報共有して連携するというのがまずあった上で、それぞれの施策を書きこんでいけばいいのではないか」という保健師・中原由美委員の意見に、多くの委員が賛同します。
「保健所等による地域連携が構築されれば、そこは自然に情報共有の場になり、そこでの事例検討は人材育成の場にもなります。地域ネットワークを作ることで、すべてが回っていく」と今成。
 このワーキンググループでも、施策案の大幅な改善が行なわれそうです。
 
スクラム再始動!

 もうひとつ、大きな動きがあります。
「基本法」制定を推進した、超党派の「アルコール問題議員連盟」とアル法ネット(事務局はASKと全断連)のスクラムが、ここに来て再び始動しているのです。
 8月6日、アル法ネットは議連に「基本計画の中でぜひ実現したい施策」の要望を行ないました。主な項目は次のようなものです。
●研究・研修・啓発の拠点となる「ナショナルセンター」を設置する
●都道府県・政令指定都市に「アルコール相談支援センター」を設置する
●保健所等をハブとした「地域ネットワーク」を推進する
 この会報入稿後の日程となりますが、8月26日に議連の会合があり、20人を超える省庁担当者が呼ばれています。そこで議連の議員らがアル法ネットの要望をもとに、各省庁の施策作りの状況をたずねてくれるとのこと。関係者会議で攻防を繰り広げている委員側にとって、大きな後押しです。
 8月28日には第7回関係者会議、31日には「教育・誘引防止・飲酒運転等」ワーキンググループの最終回が行なわれます。
 今後の展開はいかに?
『Be!』の報告記事もぜひご覧ください。
 

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