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目次
 
 関係者会議 ワーキンググループが熱い!
ASK通信 58号(2015年6月22日)より・一部改編
 
 目下、次のような矢継ぎ早の日程で、関係者会議が行なわれています。
●3月2日 第4回会議
●3月31日 ワーキンググループ1 第1回
●4月4日 ワーキンググループ2 第1回
●4月10日 第五回会議
●5月22日 午前 ワーキンググループ1 第2回
●同日 午後 ワーキンググループ2 第2回
●5月25日 ワーキンググループ3 第1回
 3つのワーキンググループは、本会議ではカバーしきれない各施策について話し合うため、委員の要望により設けられたもの。その担当分野と座長は——
【1】教育・誘引防止・飲酒運転等(DV・虐待防止、自殺防止対策を含む)……今成知美・ASK代表
【2】健診・医療……杠岳文・肥前精神医療センター院長
【3】相談支援・社会復帰・民間団体……田辺等・全国精神保健福祉センター長会会長

飲酒文化を変える

 ASKの今成が座長を務めるワーキンググループ1は、非常に広い分野を扱っています。その第一回を傍聴に行って、部屋に入るなり驚きました。関係省庁等の出席者の多いこと……。
 国税庁課税部、文科省からは二部署の5人、厚労省は四部署5人、国交省自動車局、警察庁は二部署3人、内閣府の2人、そして日本洋酒酒造組合と日本チェーンストア協会。今成の要請でこれだけの関係者が出席、委員とともに膝を突き合わせての議論が始まりました。
 教育現場の委員による「タバコと違って、アルコールはコマーシャルもばんばんやっていて、家庭でもハードルが低く、子どもたちの意識を変えるのは難しい」という意見に始まって、女性のリスクを伝える必要性、保護者への教育、職場や社会の飲酒文化が話題になり「酒は百薬の長、に代わり得る明確なスローガンを」との声が出ました。
 お互いの顔がすぐ目の前にある状態のため、挙手して指名というプロセスも飛ばして発言が飛び出す場面もあり、速記者は目を白黒。熱い雰囲気の中、メーカー側の委員も「酒に強いのがえらい、という考え方は問題」と発言し、共通の路線が敷かれました。

行政の迷路をかき分け

 この日は、医学等の専門教育を含めた学校教育や職場教育などに続き、アルコール商品の広告・表示・販売・提供まで、全部で八分野を整理票にもとづいて議論していきました。CMの飲酒シーンに関しては複数の委員が問題を指摘。商品デザインや安売り問題などをめぐって酒類業界と国税庁を交じえた議論も。
 終了予定時刻から15分を過ぎても、まだ警察庁の担当者が挙手して飲食店における対策につき熱心に発言を続ける光景はすごく新鮮でした。
 基本法によって現実的に何が可能なのか、どの部署がどう動けるのか、これまでの事業のどこをどう広げると効果が上がるのか……。こういったことは多くの場合「お役人まかせ」になりがちだと思います。けれど委員たちは皆、やる気十分。
 行政の迷路をかき分けかき分け、基本法の理念を少しでも具体的な形にしようと果敢に進んでいます。多くの省庁担当者がこれに熱意で応えてくださり、メーカー側も通り一遍の返答ではなく踏み込んだ決意を迫られています。

介入と若者への対策

 5月22日のワーキンググループ1第2回では、まず「三重県飲酒運転0(ゼロ)をめざす条例」について報告がありました。福岡に続く条例で、飲酒運転の違反者には初回から依存症の受診義務が課されています。その指定医療機関は4月現在で36ですが、専門医のいる医療機関に限らず、県の研修を受けた内科診療所が多いのが特徴。
 報告のあとの質疑で猪野亜朗医師が発言し「一般の医療機関がアルコールに介入できるようになることは、財産になる」と強調していました。
 三重と並び今後の施策のモデルとなる例として大阪府警の取り組みも紹介。2回目の違反者を対象として、警察官がスクリーニングテストを実施、受診勧奨しています。
 警察庁からは詳細なデータが出され、飲酒事故全体では40歳代が多いが死亡事故となると20代を筆頭に若年ほど多いこと、死亡事故率も若年で高く20歳未満では9%を超えることが明らかに。
 依存症者への介入と並び、若者への対策が欠かせないことが明らかになりました。

DV・虐待のデータを

 続いて、DV・虐待に関しての議論では、データの不足に焦点があたりました。
 DV事例のうちどれぐらいがアルコールがらみかというデータは「ない」と警察庁。
 虐待に関しても厚労省からの「死亡事例100のうち約半数が心中以外で、うち母親にアルコール依存が見られるものが毎年一件あるかどうか」という説明に、委員らの質問・意見が集中しました。
「虐待・DVにおけるアルコールの影響は非常に大きいことが世界的に知られている。かつて法務省に問い合わせてアルコールはゼロと言われたが、地域の保健師に直接聞いてみると、虐待家庭では結構な割合で依存・多量飲酒がある。ぜひ調べて公表を」(樋口進医師)
「児相はオーバーフロー。新しいデータをとるのは現場の負担になる」(厚労省)
「スタッフは、加害者の親と接する際に依存症の有無を確認し、すでにアルコールに対応している。都道府県単位ならデータはあるのでは。現場で困っている問題であるので、対策に生かせるデータ集約のしかたを」(田辺等医師)
「DV・虐待に関し、依存症だけでなく、酩酊下で起きているかどうか、二点からデータが必要」(猪野亜朗医師)
 西原理恵子委員からは「DVで警察を呼ぶと、その場では加害者がいい顔をして、警察が帰ったあとでもっと殴られるということが起きる。警察官が『危ないときはここへ』とシェルターの情報を渡してほしい」との意見も。

 こうした議論から必要な施策を抽出したものを本会議で報告し、委員の間ですり合わせていきます。そして10月からはいよいよ基本計画案をまとめる作業に入ります。今年中に案を作成し、その後に関係省庁や与党などでの協議を経て「基本計画」が閣議決定される運びとなります。

 

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