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目次
 
 メーカー委員の報告に質問が集中!
 基本法「関係者会議」第2回・第3回より
ASK通信 57号(2015年3月15日)より・一部改編
 
 第2回より
 

介入に向けての課題

 前号に続いて、アルコール健康障害対策基本法にもとづく「関係者会議」傍聴の記録をお届けします。
 まずは12月22日に行なわれた第2回関係者会議の概略から(詳細は『Be!』118号の記事をどうぞ)。
 5人の委員が、各専門分野の報告を行ないました。
 尾崎米厚委員(鳥取大学医学部教授)は成人と中高生の飲酒実態について。
 調査の中で中高生の飲酒が「母親の飲酒に影響される」との結果が出ていること、中高生で「男子よりも女子の方が飲む」逆転現象が起きていることなどから、女性の飲酒問題対策の重要性が改めて浮き彫りになりました。
 堀江義則委員(国際医療福祉大学教授・山王病院内科部長)は、肝障害やがんなどをはじめとするアルコール関連疾患について解説。
 他の委員との質疑応答で、内科での節酒・断酒指導の課題が見えてきました。
 猪野亜朗委員(かすみがうらクリニック副院長)からは、依存症という病気と家族の苦しみについて。この後、家族の立場から西原理恵子委員(漫画家)が思いを語りました。
「内科・外科で、飲酒のことを指摘されても、本人が家に持って帰らない。医師から家族に話してほしかったです。そうすれば、人格の問題ではなくサイエンスで見られる。それがないから、洗濯機の中で回されているような苦しみが続きました。医者は明らかに嫌がっていて、早く出て行ってほしい、という空気が感じられました。あのとき、こういう雑誌があるよと渡してくれたら(と、『Be!』を掲げて見せる)……。私は離婚してからやっと、問題の正体がわかったのです」
 そこへ猪野委員が補足して
「家族は本当に苦しんでいます。その家族を援助する最前線のスタッフも必死でがんばっています。彼らががんばれるようにしていくことが大事なのです」と訴え、介入や家族支援が保険点数化される必要性を強調しました。
 大槻元委員(全断連副理事長)による断酒会の活動報告には、さまざまな声が。医師が回復者の声を聞く大切さ、医師の研修にアルコールを入れる必要性、施策の中で回復者の潜在力を活かしていくことなどです。
 杠岳文委員(肥前精神医療センター院長)は多量飲酒者へのブリーフ・インタベンションについて。
「アルコールの専門医は500人と聞くが、介入が進むと対応が間に合わないのでは」との大槻委員の質問に、専門医に限らず、プライマリケアでの対応や、看護師・保健師・栄養士・ソーシャルワーカーなど各職種の活用が話題にのぼりました。

 
 第3回より
 

飲酒シーンはやめて

 第3回は1月28日、予防対策が中心の報告です。
 友野宏章委員(ビール酒造組合専務理事)が業界の自主規制などについて解説。すると挙手が相次ぎました。
 一番手は猪野委員。
「アルコール依存症の患者さんやご家族から、飲酒シーンのCMはやめてほしい、という切実な声を預かってきています。特にやめ始めの患者さんは、飲酒欲求を刺激されてつらいのです。配慮していただきたい」
 教育現場から渡邉祐美子委員(北海道札幌東高等学校教頭)が続きます。
「自主規制を改訂し業界として努力されているのはわかりましたが、現実は、サッカーや野球などの有名スポーツ選手がアルコールのCMに多数登場して、健康的なイメージを伝えています。子どもたちはこうしたCMに影響されます。お店に入れば、おいしそうなジュースみたいなお酒が真正面に並べられていて、子どもをターゲットにしているのかと思われるような外観に危機感を感じます。教育も大事ですが、社会的な環境にも配慮してもらいたい」
 委員の一人であるASK代表の今成知美も質問。
「メーカーの方々は、世界の情勢をよくわかっておいでのはず。WHOの会議にも出ているし、企業同士の横のつながりもありますよね。さらに調査もなさっているのでは?
その結果を日本の現状と比べてどうですか?」
 立て続けの質問にメーカー側の委員が「どこからお答えしてよいか……」「組合に持ち帰りまして……」「加盟社に共有して……」。そこへさらに田辺等委員(全国精神保健福祉センター長会会長)も挙手して、日本人の体質に対する配慮も必要ではと意見。
 こうした多数の指摘の中、CMの飲酒シーンについては「昨年も加盟社で議論を重ねましたが合意に至っていません。というのも商品の特性、おいしさを伝えるのに重要な要素だからです」とし、医療や教育側の委員との立場の違いが明らかになりました。

小売からの情報発信?

 続いて小売の立場から、坂田辰久委員(全国小売酒販組合中央会副会長)が予防活動や酒類販売管理研修について報告。その後に各委員との活発なやりとりがありました。
 まず田辺委員が二つの提案をします。
「未成年者飲酒防止に取り組んでおられるのはよいことですが、これからの対策を考えると、酒類販売研修の中で依存症について取り上げたり、大量飲酒者を作らないキャンペーンも必要では?……お得意様ではあるでしょうが」
「相談窓口や自助グループについての情報を、店頭で提供できませんか? 一升瓶を二本買ったらもれなくついてくるとか(一同笑)。保健所にパンフレットを置いていても、必要な人のところになかなか届かないのです」
 これに対し、坂田委員は、「キャンペーンのときならば情報発信も考えられる」と検討を約束。
 猪野委員からは、4リットル入りの焼酎やウイスキーを売っているのは問題では、との意見。
 次に今成が「酒販免許自由化で、コンビニ・スーパーだけでなく家電量販店やネットショップでも酒を売っているが、こうした店も研修を受けているのか」と質問。
「酒販免許を取得した人はほぼ初回の研修は受けるが、その後の研修を受けないケースも多く、そもそも従来の酒屋以外の新しい免許の人たちはなかなか酒販組合に入ってくれず、困っている」と坂田委員が現状を説明しました。
 さらに、いまだにある酒類自販機への対応や、清涼飲料とアルコールが混在する自販機を都内で見かけたことについても今成が質問。
「メーカーは新しい酒類自販機を出していないので、こわれて修理しても限界があり、なくなっていくはず。しかし清涼飲料の自販機にアルコールを入れているのは論外!
見つけたら、即やめるよう指導します」との答えでした。
 会議後にさっそく、問題の自販機情報を小売酒販組合に送付、対応を待っています。

今後のスケジュール

 3番目の発表は今成委員です。ASKが1983年の設立以来取り組んできた「三つの予防」(一次予防=予防教育と社会規制 二次予防=早期発見・介入 三次予防=家族ぐるみの回復支援と世代連鎖の予防)について、具体的な活動とその成果を紹介。
 いま家族が何に困っているかを挙げ、依存症者を社会から排除するのではなく社会が回復を応援するシステムづくりを、と訴えました。


今成が使用したパワーポイント資料より

 続いて福岡県の近藤秀隆参考人が飲酒運転対策について報告。質疑では、飲酒運転違反者に対し1回目から専門医受診を義務づける条例改正が焦点に。受診者への対応内容や未受診者への働きかけ、指定病院を増やすことなどが課題としてあげられました。

 関係者会議では、基本法の具体的政策目標である「基本計画」の案をつくることになっています。では、今後のスケジュールは?
 3月2日に第4回の会議、4月の第5回からはいよいよ基本的施策ごとの検討がスタート。細部を詰めるためワーキンググループが設置されることになっています。来年一月末までに基本計画案がまとまる予定です。

 

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