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目次
 
 アルコール健康障害対策基本法推進の集い in 東京
ASK通信 54号(2014年6月10日)より・一部改編
会場に集まった1150人の人々
 
「国を動かす1000人の一人になろう!」とのキャッチフレーズを冠した「アルコール健康障害対策基本法 推進の集い in 東京」。
 開催まで一週間を切ってからも「参加します」の声が各地から届き、主催団体(日本アルコール関連問題学会、全断連、ASK)や実行委員の間では「会場からあふれたらどうする?」という心配が現実味を帯びていました。当初の「1000人も集まるのか」という不安が、嘘のよう。
 遠方から来てくれた人が会場に入れなかったら申し訳ない。そこで「関東外の参加者席」を前方に設ける、などの検討が行なわれました。
 5月25日、快晴。参加者は1150人にのぼりました。(プログラム配布数をもとにカウント。実際はさらに多かったかもしれません)
 当日の様子をダイジェストでお伝えします。
 
 あいさつ〜基調講演
 
アル法ネット代表の丸山勝也医師(写真左)と同副代表の猪野亜朗医師
アル法ネット代表の丸山勝也医師(写真左)と同副代表の猪野亜朗医師
 
「集い」は1時から開始。会場は満杯です。
 まずはアル法ネット代表の丸山勝也医師が、「基本法が制定されてもアル法ネットの役割は終わっていません」と、政府や自治体の基本計画策定に向け働きかける重要性を強調しました。
「各都道府県で、これからも集いを開催し、基本法の存在と意義を広く知らせていくこと、関係者の提案を聞く場とすることが大切です」
 続いて、森まさこ・内閣府特命担当大臣(代理)と、アルコール議員連盟の会長代行を務める中川正春・高木美智代の両議員からあいさつ。
「皆さんの後押しで、とても仲よく基本法に取り組んでこられました。こんなにちゃんと集まって最後の詰めまでやっている議員連盟はめずらしい」との高木議員の発言が印象的でした。8人の国会議員や愛知県知事などから祝電を頂戴しました。
 基調講演は、アル法ネット副代表の猪野亜朗医師。
 数々の社会問題の背景にある飲酒問題への対策がとられてこなかった現状に始まり、「あなたと基本法」「あなたができること」など、具体的な対策の展望へ切り込んでいきます。偏見の是正、早期発見・介入の態勢づくり、一般医療と専門医の連携を進めるには「橋渡し」に対する診療報酬が欠かせないこと――など、30分にあらゆる要素がぎゅっと濃縮されていました。
 
 当事者の声
 
リカバリーパレード「回復の祭典」コーラス隊&ドライドランカーズ(写真左)と当事者の方々
 
 休憩時間にはリカバリーパレード「回復の祭典」コーラス隊&ドライドランカーズの皆さんが、壇上で美しい歌声を響かせました。
 そして当事者からのアピール……どの方の話も胸に迫りました。ここではスペースの関係上、3人の方の言葉をご紹介します。
 夫が飲んで荒れる夜の様子をつぶさに語った、愛知県断酒連合会の池?満月さん。
「子どもたちはどんな思いであの夜を過ごしたのだろうか……アルコール依存症は、なかなか表面に顔を出さない病です。二度三度と内科入院を繰り返したり通院の長引く人がいたら、その陰に依存症がひそんでいないか、家族の心が痛んでいないか、子どもたちの笑顔が消えていないか、どうぞ心を寄せてください。少しでも早く専門治療にたどりつけるよう、ご支援をお願いいたします」
 東名高速事故で二人の娘を亡くした井上保孝さん・郁美さんご夫妻。加害者のトラック運転手は十数年前から飲酒運転を繰り返していました。
「十数年間、家族は、職場の人たちは、どうして彼の状態に気づけなかったのだろう。飲酒運転の芽を摘むために、本人はもちろんですが、周囲にいる人たちが正しい知識や情報を得られる世の中になってほしいと思います」
 息子の英貴さん(20歳)がサークルの合宿打ち上げの翌朝に亡くなった、村田陽子さん。
「着ていた服は、おしっこ、うんち、げろまみれで、英貴は苦しんで苦しんで、逝ったのだと思いました。サークルの学生たちは『いつも一年はつぶされていた。強要はしていない。飲まなきゃいけない雰囲気だけじゃなく、飲ませなきゃいけない雰囲気もあった』と口々に言いました。二度とこのような悲劇を起こさせない世の中になるように、私はできる限りのことをしていきたいと思っています」
 
 関係省庁から
 
司会の樋口進医師、ASK今成、各省庁の方々
司会の樋口進医師、ASK今成、各省庁の方々
 

 内閣府(2人)、法務省、財務省、文部科学省、厚生労働省(2人)、警察庁。壇上に、8人がずらりと並びました。
 順番に今までのアルコール関連施策について報告し、司会が投げかける質問(あらかじめ提出してあったもの)に答えます。司会は久里浜医療センター院長の樋口進医師と、ASK代表の今成です。
 ではハイライトをご紹介します。

 まずは内閣府のアルコール健康障害対策推進準備室。夏ごろから基本計画の検討が始まる見込みとの説明の後、今成が質問します。
「今日は会場に全国から参加しています。基本法では、国の基本計画は義務である一方で、都道府県の計画は努力義務にとどまっています。各都道府県で実施されるのでしょうか?」
――同様の例として「食育基本法」でも自治体が食育基本計画を定めることが努力義務になっていますが、昨年3月現在で都道府県は100%、市町村も65.3%が計画を定めています。
 ですから、国の基本計画を策定する過程でも積極的に情報を出して都道府県を巻きこむ形でやっていくことや、今日お集まりの皆さんを含めて地元で基本法について周知し関係者に声をかけていくことで、各行政としても動いてくれるのではと考えています。
(加藤誠実・参事官)

「内閣府は今年、『アルコール関連問題啓発週間』の予算をとっていますが、自治体はまだ予算がとれていないと思います。自治体としてはどうしたらよいのでしょう?」
――基本法が昨年12月成立で、予算はすでに締め切られていましたが、内閣府としては何とかならないかということで財務省にも協力を求め、啓発週間と関係者会議の経費だけは認められました。
 今年はひとつのモデルとして、東京に加えて、どこか都道府県で協力していただけるところ1ヵ所、計2ヵ所でフォーラムを開催し、基本法の周知をと考えています。
 それを見た上で、来年度以降、都道府県でも積極的に取り組んでいただければと思います。    (加藤参事官)

 法務省は、刑務所や保護観察所でのプログラムについて報告しました。平成24年に交通事犯者でアルコールのプログラムを受けたのは167名、交通事犯以外を対象に試行されているプログラムを受けたのが七三名。保護観察所では飲酒運転事犯者398名が受講。
 今成が聞きます。
「判事、検事、弁護士などにもアルコールの知識をもってもらいたいのですが?」
――たとえば知的障害者については、ただ刑罰を科すだけでなく引き受け先を見据えながら執行猶予や求刑の判断をすることが、検事・判事・弁護士の連携で行なわれるようになっています。アルコールについても今後の働きかけにより、同様の可能性があると思います。
(大橋哲・成人矯正課課長)

 
司会の樋口進医師、ASK今成、各省庁の方々
 

 財務省の酒税課は、製造・販売の事業者を所管する立場から、諸制度や基準の説明がありました。なお屋外の酒類自販機(年齢確認機能がないもの)は、平成8年3月時点の18万5000台から、25年4月で約5000台まで減少したそうです。
 ここで今成代表がマイクを握りました。
「ASKで30年活動してきて、国税庁には何度もうかがい、酒類業界とも対話を重ねてきました。当初は大手メーカーにもアルコール問題に対応する部署はありませんでした。あのころから考えると、大きな進歩です。基本法を機にさらに前進してくれると信じています。皆さん、信じていますよね?」
 参加者の大きな拍手の中、今成はいきなりフロアに降りて、来賓席の業界担当者にマイクを向けます。
 ビール酒造組合からは、今後も広告などの自主基準の検討を重ねていくとのコメントを引き出し、小売酒販組合からは「酒が清涼飲料水より安く売られるという不当廉売に困っている」との言葉が。

 文科省は、小・中・高での予防教育と大学のガイダンス等での取り組みを説明。また樋口医師の質問に答えて、平成25年度から医学教育の中でアルコール性の疾患や依存性の病態などを学習することが必須とされたとの報告がありました。

 厚労省は、健康日本21や特定健診、依存症への取り組みなどを説明。
 樋口医師が質問します。
「精神保健福祉センターや保健所が、アルコールの対策に関して以前より引き気味だという話があちこちから聞こえてきますが、基本法によって改善されますか?」
――たしかにセンターや保健所は定員削減により、相対的に業務量が増えています。手が届かない部分はあるかもしれません。
 基本法の第五条で地方公共団体の責務が規定されているので、今後、取り組みは強化されるものと考えます。
(中崎宏司・精神・障害保健課 心の健康支援室室長)

 最後に警察庁が、飲酒運転防止や、免許取消処分者講習の充実などについて説明。
 6省庁とのやりとりを通して、フロアでは、思わず乗り出したり、少々がっくりしたり、さまざまな空気が生まれていましたが、今成代表がこう結びます。
「まだ皆さん、なんとなく、もぞもぞっとしたり、いろんな気持ちを持っていらっしゃると思うんですが、ここがスタートです。この場に、関連6省庁の方々が出てくださったのは、基本法がなければあり得なかったこと。そして、ここに出るために各部署で話し合いをしてくださっている……つまり連携がすでに始まっているのです。今日わかったように、アルコール問題というのはこれだけ幅広い。関係者が連携していかないと、どうにもなりません。それが今日、始まったのだと思います」
 会場は大きな拍手に包まれました。
 最後に「アルコール健康障害対策基本法 推進宣言」が採択され、熱い一日は幕を閉じました。

 

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