2009年4月30日
サントリー・ホールディングス株式会社
代表取締役社長 佐治信忠様
サントリー酒類株式会社
社長 相場康則 様
主婦連合会
会 長 山根 香織
〒102-0085 千代田区六番町15 主婦会館プラザエフ3F
Tel 03-3265-8121 Fax 03-3221-7864
日本アルコール問題連絡協議会
会 長 佐藤 喜宣
〒103-0007 中央区日本橋浜町3-16-7-7F
特定非営利活動法人アスク(アルコール薬物問題全国市民協会)内
Tel 03-3249-2551 Fax 03-3249-2553
加盟団体:特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)/イッキ飲み防止連絡協議会/アディクション問題を考える会(AKK)/(社)全日本断酒連盟/日本アルコール・薬物医学会/日本アルコール関連問題ソーシャルワーカー協会/日本禁酒同盟/(財)日本キリスト教婦人矯風会/日本禁酒禁煙協会 |
申し入れ書
世界保健機関(WHO)が「アルコールの有害な使用を減らす世界戦略」の採択に向けて動き、これに呼応し各国で規制が強まっています。世界の酒造業界も自主規制を強める動きを見せています。
一方、わが国の自主規制は世界の基準からはるかに遅れており、しかも最近では飲酒の害を受けやすい女性をこぞってターゲットにする傾向が顕著です。そのため、昨年、私たちは各酒造組合に、自主規制の強化を要望しました。この申し入れの後、「女性」が「昼間」から「一人酒」という飲酒パターンについては、独自の自主規制を行なった酒類メーカーも出てきています。
このような背景の中で、この春、貴社が展開している、日替わりで違う女性タレントを登場させた「ジョッキ生」のテレビCM「オツカレちゃん!」シリーズは、今回申し上げる数多くの問題点をはらんでおり、到底看過できるものではありません。
【問題点1】 毎日飲酒を勧めているように受け取れる
「月曜」「火曜」と、週末まで日毎に飲酒することを勧めているように受け取れる設定である。
(休肝日をおかずに毎日飲酒することは、アルコール依存症や生活習慣病のリスクを高める)
<CMから>
月「一週間のはじまり月曜って何かと疲れますよね。」「まだ月曜か…な〜んて気分は『のみごたえ辛口』で、ぶっ飛ばしちゃいましょー!」
火「今日は火曜日チューズデイということで、『チュー』してあげます。」「あはは。」「それでも疲れが残ってるなら、『のみごたえ辛口』で、ぶっとばしちゃおうっ!」
水「水曜日は、ノー残業デーの人、多いよね?」「早くお家に帰れる、このめでたい日を『のみごたえ辛口』で、ドカーンと楽しんじゃおう!」
木「木曜日"サーズデー"って覚えづらいですよね。」「『のみごたえ辛口』も覚えづらいですけど」「覚えづらいですけど」「すっごくおいしいですよっ!」
金「さぁ金曜日!がんばったお互いの健闘を称え、今日は、でっかい『のみごたえ辛口』でぶっ飛ばしちゃおう!」
土日「土日も意外と、オツカレちゃん!」
【問題点2】 若い女性が平日の昼間から飲む姿を大々的にアピール
若い女性タレントたちは商品を勧めているだけでなく、自分たちもゴクゴクと飲んでみせている。その大半は昼間の飲酒シーン。曜日が設定されていることから、平日の昼間から一人で飲んでいる設定と受け取れる。
とくに月曜日は、ネグリジェのような服・白いソファ・ごろごろ寝転ぶポーズ・窓から差し込む光の組み合わせから、午前中の寝室のようにさえ見え、違和感が非常に強い。(下の画像)
火曜日の女性も日中に缶を持って寝転んでいる。(下の画像)
(平日の昼間から一人で、しかもごろごろしながら飲酒するというのは、アルコール依存症を連想させる飲み方である。依存症のリスクが高い女性に、このような飲酒パターンを示すべきではない)
【問題点3】 性的アピール
CMのコンセプトが、若い女性タレントたちが男性に商品を飲むよう魅惑的に呼びかけるというもので、露骨な性的アピールが随所に見られる。女性の性を商品化した表現に不快感を覚える。
(アルコールCMで性的アピールをしないことは、海外の多くの自主コードに規定されている)
<CMから>
月 ネグリジェのような服、ベッドのようにも見えるソファ、寝転ぶポーズ。(上の画像)
火 テラスに寝転び、「今日は火曜日チューズデイということで、『チュー』してあげます。」(上の画像)
金 夜、勤め帰りの若い女性がマンションの玄関ドアを後ろ手で開け「入って!」とにっこり。缶を2本準備し、「さぁ金曜日!がんばったお互いの健闘を称え……」と缶にキスする。(上の画像)
【問題点4】 アルコールで疲れがとれるというアピール
「オツカレちゃん!」という名称からも明らかなように、この商品を飲むことで「疲れをぶっ飛ばそう」というアピールを行なっている。
(マイナスの気分や疲れがアルコールでとれるという向精神作用・鎮痛作用をうたうのは危険であり、海外の多くの自主コードに規定されている)
<CMから>
月 「一週間のはじまり月曜って何かと疲れますよね。」「まだ月曜か…な〜んて気分は『のみごたえ辛口』で、ぶっ飛ばしちゃいましょー!」
火 「今日は火曜日チューズデイということで、『チュー』してあげます。」「あはは。」「それでも疲れが残ってるなら、『のみごたえ辛口』で、ぶっ飛ばしちゃおうっ!」
【ASKからの抗議に対する貴社の回答】
4月12日にASKは貴社ARP室に対し抗議しましたが、同27日、同室は「問題点は何も感じない」と回答されています。
CMが視聴者に対して与えるメッセージ(明らかに言語化されていなくても)については、CM放映自体が法的に規制されていないイギリスやアメリカでも非常に細かい表現上の自主規制コードがあり、日本も整備を進めなければいけないことは、大手メーカー間ではもはや共通認識となっているはずです。
これまで貴社に対しては、数々のCMへの抗議を行なってまいりました。その中で貴社はいち早くアルコール関連問題を冠したARP室を立ち上げ、経験と判断を蓄積されて、国内メーカーにおける自主規制や予防活動を先導されてきたことは評価に値すると考えてまいりました。ところが現状では、同室が貴社のCMをチェックする社内部署として機能しているとは思われません。
今まさに、酒造業界の自主規制の実効性が問われる社会情勢の中、これまで他社をリードしてきた蓄積を覆すかのような今回の対応については、残念な思いを強く抱かざるを得ません。貴社が何の対策も打たない場合には、CM規制への取り組みを軽視しているという意思表示にもなりかねません。
【要望】
2点を強く要望します。
1.当該CMシリーズの放映を中止すること
2.同様のことを繰り返さないために、社内CMコードの改善をすること
例えば ・毎日の飲酒を勧めると受け取られるような表現を行なわない
・女性の昼間の一人酒シーンを放映しない
・性的アピールと受け取られる表現をしない
・アルコールの向精神作用をアピールしない、など
5月12日までに、正式なご回答をいただけますようお願いします。
なお、ご回答いただきました内容は公表させていただきます。
この申し入れについては、ビール酒造組合と国税庁にも通知いたします。
ジョッキ生のテレビCM「オツカレちゃん!」シリーズの詳細