2007年2月19日

警察庁長官 漆間 巌 様
法務大臣 長勢 甚遠 様

日本アルコール問題連絡協議会
  会 長   佐藤 喜宣

〒103-0007 中央区日本橋浜町3-16-7-7F
特定非営利活動法人アスク(アルコール薬物問題全国市民協会)内
Tel 03-3249-2551 Fax 03-3249-2553

加盟団体:特定非営利活動法人ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)/イッキ飲み防止連絡協議会/アディクション問題を考える会(AKK)/(社)全日本断酒連盟/日本アルコール・薬物医学会/日本アルコール関連問題ソーシャルワーカー協会/日本禁酒同盟/(財)日本キリスト教婦人矯風会/日本禁酒禁煙協会

 

 

 

 日本アルコール関連問題学会
  理事長   
丸山 勝也
 〒239-0841 神奈川県横須賀市野比5-3-1
独立行政法人国立病院機構久里浜アルコール症センター内
Tel 0468-48-1550 Fax 0468-49-7743


<飲酒運転>留置中の急死を防ぐための緊急要望書

<要望事項>

 飲酒運転で逮捕される人の中には、アルコール依存症が進行したケースも含まれており、留置場や拘置所に入れられているときに、アルコールが切れて離脱症状が出ることも想定されます。複合的な要因により、解毒期(=断酒した後、離脱症状が出現し、次第にそれが軽減していく時期)は生命の危険が生じる場合があるため、解毒治療に詳しいアルコール依存症の専門医療機関と連携する体制を整えるなどして、アルコールの離脱症状等における生命の危険の発生を防止する対策を講じていただくよう要請します。

<要望の背景と理由>

 飲酒運転で逮捕された容疑者が留置場内で急死するという事態が、福岡(2007年2月16日2月9日)と千葉(2月12日)で相次ぎました。
報道によると、福岡市の男性(52)はアルコール依存症を理由に休職中、慢性すい炎で2月1日に退院したばかりでした。「モニター監視していた署員が松原容疑者の両手が震えているのを発見。駆け付けたが『問題ない』と判断し引き揚げた。約5分後、嘔吐しているのに気付き、署員が心肺蘇生を行うとともに病院に搬送したが、9日午前4時20分ごろ、死亡した」(西日本新聞2007年2月10日)。司法解剖の結果、死因はアルコール性の膵臓(すいぞう)障害と肝臓障害による病死とされました。
千葉県銚子市の男性(64)の死因はまだ判明していませんが、「大声を上げたり、眠れなかったりする状態が続き、食事をわずかしか摂らなかったため、前日に病院で診察を受けていた」(読売新聞2007年2月12日)とあります。
飲酒運転による逮捕者の中には、アルコール依存症がかなり進行した人たちも含まれており、留置中にアルコールが切れて離脱症状が出現することも想定されます。とくに依存症の後期では、食事をほとんど摂らず何日も大量に飲み続ける状態に陥ることがあり、衰弱して低血糖を起こしたり、電解質バランスを崩したり、脱水状態になったりしたうえに、アルコール性臓器障害が複合しているといったケースがあり、生命の危険が生じます。そして解毒治療の経験を持たない一般の医療機関では状態の把握がむずかしい場合があります。
2000年1月14日には、道交法違反(酒酔い運転)の容疑で逮捕された男性(44)が、留置場に勾留されて7日目の20日に、心停止のため搬送先の病院で死亡するというケースがありました。遺族が訴訟を起こし、昨年3月4日に最高裁で200万円の支払いを県に命じた高裁判決が確定。判決は、男性が慢性アルコール性臓器障害に加え、アルコールが切れたことによる離脱症状などで脱水症状が進み、ショック状態に陥ったと推定しています。

現在、厳罰化の流れや盛んなマスコミ報道によって一般のドライバーの自覚は促されており、いまだ飲酒運転を続けている人の多くは深刻な飲酒問題を抱えている(アルコール依存症の可能性が高い)と考えられます。飲酒運転による逮捕後、留置中に生命にかかわるなんらかの身体的異変が起きることは、十分想定されます。
留置場や拘置所などにおいては、ぜひともアルコール依存症という病気への理解のもと、言動、酒臭や呼気アルコール濃度、手指のふるえなどの離脱症状に注意の上、アルコール依存症が疑われた場合には、「解毒治療」に詳しい地元の専門医療機関と連携して、緊急な身体的異変への適切な対応がなされるよう、要請します。

 私たちは、アルコール問題の専門家として、この問題についてご担当者に詳しくご説明し、関係諸機関が適切な対策をお取りいただけるようご協力する用意があります。つきましては、ぜひご担当の方から下記までご連絡をいただけますようお待ちしております。

 

特定非営利活動法人アスク Tel 03-3249-2551


飲酒運転により逮捕され、留置中に急死した例(報道から)


●勾留男性死亡訴訟、遺族側の勝訴確定 最高裁、県の上告棄却 /埼玉県
2006年 3月 4日 朝日新聞
大宮警察署で6年前、勾留(こうりゅう)中の次男(当時44)が死亡したのは、警察官が適切な留置管理を怠ったためとして、父親のさいたま市見沼区、無職本田勇吉さん(79)=写真=が県に500万円の慰謝料を求めた訴訟は、このほど最高裁で県の上告が棄却され、200万円の支払いを県に命じた高裁判決が確定した。決定を受け本田さんは3日会見し、「警察の不作為が息子の死を招いた。憎しみは消えない。息子を返して欲しい」と訴えた。高裁判決によると、次男の和也さんは00年1月14日、道交法違反(酒酔い運転)の容疑で逮捕され、大宮署の留置場に勾留(こうりゅう)されてから7日目の20日、心停止のため搬送先の病院で死亡した。判決は、和也さんが慢性アルコール性臓器障害に加え、アルコールが切れた解脱症状などで脱水症状が進み、ショック状態に陥ったと推定。「適切な治療を受ける機会を逸し、延命の可能性を侵害した」と判断した。

●逮捕の福岡市職員病死 酒酔い運転容疑福岡西署に留置中
2007年2月10日 西日本新聞
福岡市西区で8日朝、飲酒運転による追突事故を起こし、道交法違反(酒酔い運転)の現行犯として逮捕、留置されていた同市職員松原康繁容疑者(52)=休職中=が福岡西署の留置場で嘔吐(おうと)し、9日朝、死亡した。司法解剖の結果、死因はアルコール性の膵臓(すいぞう)障害と肝障害による病死と判明した。同署によると、8日午後11時50分ごろ、留置場をモニター監視していた署員が松原容疑者の両手が震えているのを発見。駆け付けたが「問題ない」と判断し引き揚げた。約5分後、嘔吐しているのに気付き、署員が心肺蘇生(そせい)を行うとともに病院に搬送したが、9日午前4時20分ごろ、死亡したという。松原容疑者は2005年2月からアルコール依存症を理由に休職中で、今年1月18日から2月1日までは慢性膵炎の治療のため入院していた。8日朝の逮捕時も意識がもうろうとし、自力で立てない状態だった。同署は、同容疑者のかかりつけの福岡県前原市の病院で受診させたが、「留置は可能」と診断されたため、午後6時半ごろ署に戻した。留置場では医師が指示したスポーツ飲料を飲んでいたという。

●留置場内で64歳容疑者が死亡…千葉・銚子署
2007年2月12日16時39分 読売新聞
12日午前6時30分ごろ、千葉県銚子市の銚子署留置場内で、8日に業務上過失傷害と道交法違反(酒気帯び運転)の現行犯で逮捕され、拘置中の同市小船木町、無職加瀬勝信容疑者(64)が息をしていないで倒れているのを同署員が発見した。約30分後に救急隊員が駆け付けたが死亡していた。目立った外傷はなく、千葉地検が司法解剖し、死因を調べる。同署によると、12日午前3時ごろに同署員が眠っている加瀬容疑者を確認したという。加瀬容疑者は逮捕後、大声を上げたり、眠れなかったりする状態が続き、食事もわずかしか取っていなかったため、11日に病院で診察を受けていた。

 

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