◆追跡そして未踏の地へ

 コロンボの歩き方はいつになく早かった。ダイジョウミャク線でサシンボウ地区に入ると、そのままサシンシツ地区ヘ。今度はハイジョウミャク線の線路上をハイ町へと進んだ。シラーフはコロンボの後を遅れないようについていった。

 コロンボはいかにも確信に満ちたしっかりとした足どりで進んで行った。やがて、ハイドウミャク線→ウシンシツ地区→ウシンボウ地区→カンジョウ線へと進み、カンゾウ地区では、かなり念入りに次に進む道を探した。

 どうやらにおいが錯綜しているらしかった。ようやく、たくさんある地下鉄線の中から、モンミャク線の一つを選ぶと今度は全速力で走り始めた。イブクロ広場に到着すると、迷わず北上を始め、フンモン入口を通過、ショクドウ通りに進んだ。

 シラーフはショクドウ通りに足を踏み入れるのはこれが初めてだった。あまり起伏のない真っ直ぐな道が続いていた。長い道のりの先には、ふだんは閉じているが時たま開くイントウ門があった。そして、そこは間欠的に強風が吹き荒れていた。風のおさまるわずかのスキを縫って門を通過すると、暗くて大きいクチ洞窟が待ち構えていた。

 シラーフにとっては完全に未踏の地である。

「たしか、危険地域に指定されていたはずだ。一度迷い込むと二度と帰ってこれないとの言い伝えもあるな」

 暗闇をかなり奥へ進んだところで、コロンボは右の崖を登り、ゴツゴツした自くて硬い岩の立ち並ぶところで歩みを止めた。

「ウォン」



 ここで止まれといっているらしかった。コロンボの自信のある歩みを見ていると、どうも彼はここにやって来たのは初めてではないようだ。

「彼にもまた神出鬼没なところがあるからな」

 とシラーフは思った。コロンボの指示するままシラーフもまた岩陰に身をひそめた。

 長い追跡だった。ノウ特別区を出発してから、すでに8時間余りがたっていた。腰をおろすと、強烈な睡魔が襲ってきた。